2009 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄由来fibrocyteの遊走阻害:PDGFの役割と肺線維症治療への展開
Project/Area Number |
20390231
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
西岡 安彦 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (70274199)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿内 聡司 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (50380100)
|
Keywords | 肺線維症 / fibrocyte / PDGF / PDGFレセプター / イマチニブ |
Research Abstract |
本年度の研究計画に沿って研究を行い以下の成績を得た。昨年度の研究成果から、マウス肺組織より分離したfibrocyteはPDGFレセプターαおよびβを発現しており、PDGFに反応して増加すること、ブレオマイシン肺線維症モデルマウスの肺には、線維化早期にfibrocyteが増加していること、PDGFレセプターのチロシンキナーゼ阻害剤であるイマチニブを投与することにより肺組織のfibrocyte数が減少することを確認した。本年度は、ヒト末梢血単核球からfibrocyteを培養し、ヒトfibrocyteにおけるPDGFレセプター発現およびPDGFに対する遊走反応について検討した。ヒトfibrocyteの回収には、健常人末梢血よりLymphocyte separation medium(LSM)を用いた比重遠心法にて単核球を使用した。これらの単核球をフィブロネクチンコートした培養皿にて7~10日間培養後、付着細胞を回収し、マイクロビーズにてCD3、CD19、CD4陽性細胞を除去した分画をfibrocyteとして使用した。フローサイトメトリーによる解析から、これらの細胞にはfibrocyteのマーカーであるCXCR4およびコラーゲンIが発現していることを確認した。一方これらのヒトfibrocyteには、フローサイトメトリー法およびRT-PCR法によりPDGFレセプターのαおよびβが発現していることを確認された。さらにPDGF刺激による遊走反応をボイデンチャンバー法を用いて検討した。その結果、ヒトfibrocyteは、各種PDGFの中でPDGF-BBによる遊走活性が最も強く、これまでにfibrocyteの遊走因子として知られているCXCL12の遊走刺激活性よりも高かった。さらにPDGF-MおよびPDGF-BBによるfibrocyteの遊走活性は、イマチニブ処理により抑制された。以上から、ヒトfibrocyteの遊走においても、PDGF-PDGFレセプター系が関与しているごとが示され、PDGF-PDGFレセプター系の阻害はヒト肺線維症に対する抗線維化療法としても有用である可能性が示唆された。
|
Research Products
(19 results)