2011 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖不全IgAに対する新規受容体の同定と解析によるIgA腎症発症機序の解明
Project/Area Number |
20390234
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
成田 一衛 新潟大学, 医歯学系, 教授 (20272817)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 佳賢 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (80444157)
|
Keywords | IgA腎症 / 糖鎖不全 / 受容体 / メサンギウム細胞 / クローニング / インテグリン |
Research Abstract |
本研究の目的は、IgA腎症の病因に直結していると考えられているヒンジ部糖鎖不全IgA1分子が、全身循環血中に存在するにもかかわらず、糸球体メサンギウム細胞に特異的に沈着する機序を明らかにすることである。申請者らは、糖鎖不全IgAに対する親和性(結合性)がある条件で刺激されたメサンギウム細胞に発現することを観察し、この新規受容体の同定とその発現調節機構の解析をおこなった。糖鎖不全IgA1プローブは正常血清からIgAを精製し、Neuraminidase処理による脱シアル化とβ-galactosidase処理による脱ガラクトシル化を行い、蛍光標識ラベルしてプローブとした。ヒトメサンギウム細胞は、TGF-β,TNF-α,アンジオテンシンなどで刺激を加えると、糖鎖不全IgA1に対する親和性が亢進した。次に糖鎖不全IgA1に親和性を示すメサンギウム細胞をCell sortingにて濃縮し、決定された至適培養条件下で得られたメサンギウム細胞を、細胞表面をbiotin化した後にNP-40を用いて可溶化し、セファロースビーズに共有結合で結合させた糖鎖不全IgA1とともに反応させ、糖鎖不全IgA1と結合する可溶成分を吸収した。得られたIgAと可溶成分の複合体をSDS-PAGEにて展開し、PVDF膜に転写した後、HPR標識抗biotin抗体を用いて、糖鎖不全IgA1と結合したメサンギウム細胞膜蛋白を同定する。得られた蛋白質のアミノ酸シークエンスを行い、一部のアミノ酸配列を決定した。 この新規受容体の一部は、βインテグリン鎖と一致していた。ヒトIgA腎症の腎生検検体では、α2/β1インテグリンの発現がIgA沈着と一致していた。また、IgA1をcollagen IVと混和すると著しくメサンギウム細胞に対する親和性が上昇した。以上の結果から、糖鎖不全IgA1がcollagen IVと複合体を形成し、α2/β1インテグリンを介してメサンギウム細胞に結合し、その結果細胞増殖刺激を惹起していると考えられた(Kaneko Y, et al.Int Immunol 2012)。
|