2010 Fiscal Year Annual Research Report
腎疾患における小胞体ストレス応答の意義の解明と新規治療戦略の開発
Project/Area Number |
20390235
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
北村 正敬 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (90333062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
姚 建 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (50303128)
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Keywords | 小胞体ストレス / シグナル伝達 / 炎症 / 糸球体腎炎 / NF-κB / 尿細管細胞 / メサンギウム細胞 / 糸球体上皮細胞 |
Research Abstract |
一昨年度から昨年度にかけ、小胞体ストレスの炎症応答における役割、特にその抗炎症効果について検討を行い、あらかじめ惹起された小胞体ストレス応答は後続の炎症性刺激(TNF-α等)によるNF-κBの高度な活性化を顕著に抑制しうることを証明し、またそのメカニズムとして、C/EBPβの誘導、A20の誘導、およびTRAF2の減少が関与する事を明らかにした。今年度はその詳細なメカニズムに関する更なる解析を行い、小胞体ストレスによるC/EBPβの誘導には特定の小胞体ストレス応答系(UPR)が関与すること、A20の誘導には小胞体ストレスによる早期一過的なNF-κBの活性化が寄与すること、またTRAF2の減少にER stress-associated degradation(ubiquitin-proteasome系)を介したタンパク分解系が寄与することを証明した。また、TNF-αによるNF-κBの活性化にはAktのリン酸化が介在し、そのリン酸化を小胞体ストレスが抑制すること、さらにその過程にATF6経路を介したmTORC1の活性化が関与していることを明らかにした。こうした小胞体ストレス応答の“Light Side”を明らかにする一方、小胞体ストレスがPERK、IRE1経路を介して、MAPキナーゼ系のリン酸化を誘導すること、つまり組織障害における“Dark Side”の一端も明らかにすることができた。これらの研究成果は、4報の原著論文として報告を行った。(J Am Soc Nephrol 21: 73-81, 2010. Biochem Biophys Res Commun 397: 176-180, 2010. Mol Cell Biol 31: 1710-1718, 2011. Toxicol Sci 120: 79-86, 2011).
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