2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経変性疾患におけるユビキチンプロテアソーム系の関与の解明
Project/Area Number |
20390244
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 良輔 京都大学, 医学研究科, 教授 (90216771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川又 純 札幌医科大学, 医学部, 講師 (60360814)
三澤 日出巳 慶応義塾大学, 薬学部, 教授 (80219617)
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Keywords | 神経変性疾患 / プロテアソーム / モデル動物 / ALS / パーキンソン病 |
Research Abstract |
運動ニューロン疾患におけるタンパク分解に重要なプロテアソーム活性低下の意義を明らかにするため、昨年度までに運動ニューロン特異的にプロテアソームサブユニットRpt3をノックアウト(KO)したマウスを作製した。交配に用いたVAChT-Cre-Fastマウスは生後5週までに40-70%の運動ニューロンにCreが発現する。このCreの働きによって、運動ニューロン特異的にRpt3を欠損させる。この運動ニューロン特異的Rpt3-KOマウスでは、8週齢以降に振せん症状を呈し始め、12週より、下肢の運動機能低下が出現し、20週までは急速に、40週までは緩徐に進行することが確認されている。また、運動機能解析法の一つである、ロタロッド解析においても、12週以降より運動機能が低下していくことを確認した。6週、12週、40週で神経病理学的解析を行っており、6週の段階でRpt3の減少とともに分解シグナルであるユビキチンの蓄積を確認した。また、神経変性進行段階である12週において孤発例からALSの病因子の一つとして同定されたTDP43の蓄積、リン酸化および封入体を確認した。その他の病因子であるFUS、Optineurinの蓄積も認められた。さらに、この進行に伴い、運動ニューロン数の段階的減少を確認した。本マウスを用いることで、プロテアソームを介したタンパク分解系がALSにおいて深く関与していることを示唆した。 一方、我々はメダカの脳脊髄液には薬物注入が容易に行えることに着目し、プロテアソーム阻害薬、リソソーム阻害薬、小胞体ストレス誘発薬を注入したところ、いずれの場合も、ユビキチン化され、ときにはシヌクレインも含む封入体形成を伴う黒質ドパミンニューロン細胞死を観察した。このことより、タンパク質分解系の障害がパーキンソン病の発症に関与することが示唆された。
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Research Products
(11 results)