2008 Fiscal Year Annual Research Report
毒性βシート構造体・オリゴマーを標的としたポリグルタミン病の分子標的治療薬の開発
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20390245
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
永井 義隆 National Center of Neurology and Psychiatry, 神経研究所疾病研究第四部, 室長 (60335354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ポピエル ヘレナ 明子 国立精神・神経センター, 神経研究所疾病研究第四部, 外来研究員 (40467593)
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Keywords | 神経科学 / 蛋白質 / 脳神経疾患 / 治療薬 / アミロイド / 神経変性疾患 / ポリグルタミン病 / スクリーニング |
Research Abstract |
近年、アルツハイマー病、パーキンソン病、ポリグルタミン(PolyQ)病など多くの神経変性疾患において、異常蛋白質のミスフォールディング・凝集が神経変性を引き起こすという共通の発症分子メカニズムが考えられるようになった。PolyQ病は原因蛋白質内のPolyQ鎖の異常伸長(>40)により発症するハンチントン病、接々の脊髄小脳失調症などの9疾患の総称である。最近研究代表者らは、異常伸長PolyQ蛋白質はアミロイド様凝集体を形成する前に、βシート構造へ異常コンフォメーション変移したモノマー・オリゴマーの段階で細胞毒性を獲得することを明らかにした(Nat Struct Mol Biol,2007)。本研究では、異常伸長PolyQ蛋白質の毒性βシート構造体・オリゴマーを治療標的として、1)異常伸長PolyQ鎖結合ペプチドQBPIを応用する方法、2)PolyQ凝集阻害化合物をハイスループットスクリーニングにより同定する方法、3)内在性分子シャペロンの発現誘導剤を用いる方法により、PolyQ病のみならず神経変性疾患共通の治療薬の開発を目指す。 今年度は、1)QBP1配列(SNWKWWPGIFD)のアラニン・スキャンによるアミノ酸置換体について、PolyQ凝集阻害活性の評価を行った。その結果、W3、W5、W6、I9、F10の5アミノ酸がQBP1の活性に必須であり、WKWWPGIFの8アミノ酸が最小活性配列であることが明らかになった。2)一部の1次ヒット化合物について、2/3次スクリーニングを行い、FCSにて細胞内でのPolyQ蛋白質のオリゴマー形成阻害効果を確認し、かつショウジョウバエモデルの神経変性を抑制する治療薬候補化合物を同定した。3)分子シャペロン誘導剤17-AAGが、脊髄小脳失調症モデルのみならずハンチントン病モデルショウジョウバエにも有効であることを示した。
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