2010 Fiscal Year Annual Research Report
毒性βシート構造体・オリゴマーを標的としたポリグルタミン病の分子標的治療薬の開発
Project/Area Number |
20390245
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
永井 義隆 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所疾病研究第四部, 室長 (60335354)
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Keywords | 神経科学 / 蛋白質 / 脳神経疾患 / 治療薬 / アミロイド / 神経変性疾患 / ポリグルタミン病 / スクリーニング |
Research Abstract |
近年、アルツハイマー病、パーキンソン病、ポリグルタミン(PolyQ)病など多くの神経変性疾患において、異常蛋白質のβシート構造変移体・オリゴマーが神経変性を引き起こすという共通の発症分子メカニズムが考えられるようになった。本研究では、異常伸長PolyQ蛋白質の毒性βシート構造体・オリゴマーを治療標的として、1)異常伸長PolyQ鎖結合ペプチドQBP1を応用する方法、2)PolyQ凝集阻害化合物をハイスループットスクリーニングにより同定する方法、3)内在性分子シャペロンの発現誘導剤を用いる方法により、PolyQ病のみならず神経変性疾患共通の治療薬の開発を目指す。 今年度は、1)QBP1配列(SNWKWWPGIFD)のアラニン・スキャン体、Dアミノ酸・スキャン体、欠失変異体など様々な変異体を用いた網羅的な解析を行い、前年度までの結果と併せて、最小活性配列( WKWWPGIF)のうち、W3、W5、W6、I9、F10の5アミノ酸がPolyQ凝集阻害活性に必須であることを明らかにした。2)1次ヒットPolyQ凝集阻害化合物について、2/3次スクリーニングとしてFCSを用いた細胞内PolyQ蛋白質オリゴマー形成阻害、PolyQ病モデルショウジョウバエでの神経変性抑制の評価を進めた。その結果、PolyQ病モデルショウジョウバエでの有効性を示す8化合物を同定した。そのうち3化合物は、アミロイドβ、αシヌクレイン、タウに対する凝集阻害活性も認めた。化合物QAI1については、PolyQ病モデルマウスに対する治療効果の検討を開始し、運動障害に対して一部有効性を認めた。3)分子シャペロン誘導剤17-AAGのパーキンソン病モデルショウジョウバエに対する治療効果を検討した結果、明らかな有効性を認めなかった。 本研究により、異常伸長PolyQ蛋白質の毒性βシート構造体・オリゴマーを治療標的としたPolyQ病に対する治療法開発への道筋が示された。
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