Research Abstract |
本研究は,脳活動とそれを支える脳循環代謝システムの連動について,その局所原理と全体像を,異なる時空間スケール,すなわち,(1)微視的時空間スケールと(2)巨視的時空間スケールから統合的に解明することを目的としている。平成20年度,(1)に関しては,2光子顕微鏡の資料台にて,酸素化,脱酸素化ヘモグロビンの吸収優位波長を用い,通常のCCDカメラで内因性光学信号を取得,神経活動領域を描出する実験系をくみ上げた。その後,Quantum dot nanocrystalsを静脈内に投与,活動領域の微小循環系3次元構造を描出して,皮質穿通動静脈の血管径計測や毛細血管内赤血球のline scanを行った。結果,血管径の変化,血液量の変化は,細動脈側優位に,血球スピードの変化は細静脈側優位に観察され,fMRI-BOLD信号の起源としては,Balloon Modelで想定されるような細静脈側expansionはあまり重要ではないと推測された。(2)においてヘモグロビン2次元マッピングについては,高速フィルター変換器ではなく,多波長同時観察ユニット(Quad-View)を用いて実現した。また,活動領域で微小電極を用いて細胞外電場電位を測定,周波数解析にて,Multi-Unit Spiking Activity(MUA)と高周波数電場電位(gamma-band LFP)と低周波数LFPとに分離した。その結果,脳循環反応は,MUAとgamma-band LFPと線形的に密接に関係していることが示された。これは,Brain Mappingに用いられる脳循環反応が,背後にある大脳皮質活動のうち,どのような神経活動の要素を反映しているかを理解する上で極めて重要な結果であると考えられた。
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