2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20390250
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
西野 一三 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所・疾病研究第一部, 部長 (00332388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 悟 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所・疾病研究第一部, 室長 (00370982)
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Keywords | 神経分子病態 / 筋疾患 / オートファジー |
Research Abstract |
オートファジー関連筋疾患の病態解明と治療法開発のため、1)ダノン病のモデルマウスであるLamp2遺伝子欠損(KO)マウスを用いて、骨格筋・心筋の表現型を生理学的または病理学的に特徴付けること、2)ホモログ分子であるLamp1を外来性に発現させることでの表現型の回復を解析すること,を目的とした。昨年度までに、Lamp2 KOマウスにLamp1を過剰に発現するマウスを掛け合わせることで、心症状が改善すること、及び初代培養細胞を用いた解析から、Lamp1の過剰発現によりLamp2 KO細胞において観察された酸性小胞のクリアランスの低下と、タンパク質分解率の低下が改善することを報告した。今年度は、阻害剤を用いたタンパク質分解活性の解析、骨格筋における免疫組織染色及び電子顕微鏡による解析を行った。初代培養細胞を用いたタンパク質分解活性をマクロオートファジー及びプロテアソームの阻害剤を用いて解析したところ、Lamp2 KO細胞ではマクロオートファジーによる分解が顕著に低下していることが確認され、その低下はLamp1過剰発現により改善されることを明らかにした。また、免疫組織染色の結果から、Lamp2 KOマウスでは、リソソームと共局在しているオートファゴソームの割合が少ないのに対し、Lamp1の過剰発現によりその割合が増加し、オートファゴソームマーカー陽性の筋線維数も減少していることが観察された。電子顕微鏡による観察においても、Lamp2 KOマウスでは、多くのオートファゴソーム様の小胞が観察されたが、Lamp1過剰発現によりその数は減少していた。これらの結果から、Lamp1の過剰発現はオートファゴソームとリソソームの融合を改善することにより、Lamp2欠損による細胞機能障害を改善しうると考えられた。以上から、Lamp1の発現誘導は、ダノン病の治療候補として有用であることが示唆された。
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Research Products
(8 results)