2009 Fiscal Year Annual Research Report
一塩基変異を認識し神経疾患原因遺伝子だけを特異的に抑制するRNAi技術の確立
Project/Area Number |
20390251
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
北條 浩彦 National Center of Neurology and Psychiatry, 神経研究所・遺伝子工学研究部, 室長 (60238722)
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Keywords | RNAi / 変異遺伝子 / 脳神経疾患 / 対立遺伝子特異的抑制 |
Research Abstract |
RNAiは、簡便で優れた遺伝子発現の抑制技術であり、すでに基礎研究の分野では一般的なツールとなっている。さらに医療分野においても、数年以内にRNAi治療薬が登場しようとしている。これらRNAiは、ターゲット遺伝子に対してその発現を強力にノックダウンする目的で設計され使用されている。そのため正常型対立遺伝子であっても変異型対立遺伝子であっても目的の遺伝子は強力にノックダウンされる。しかしながら、そのような対立遺伝子を区別しない強力な発現抑制が必ずしも良いとはかぎらない。正常型対立遺伝子のRNAiノックダウンによる副作用の可能性を考えると、正常型遺伝子を抑制しないで病因となる変異型対立遺伝子だけを特異的にノックダウンすることが必要となる。そこで本研究は、疾患原因遺伝子上の変異を目印に、その変異を持った原因(対立)遺伝子だけを特異的にノックダウン(正常型遺伝子には影響しない)する次世代のRNAi誘導技術の確立を目指す。H21年度は、代表的なトリプレットリピート病であるハンチントン病の原因遺伝子、変異型ハンチンチン遺伝子を対象とした研究を推進した。リピート病は繰返し配列の異常伸長が原因で発症するため、病因となる繰返し配列自身をRNAiのターゲットにすることは難しい。そこでハンチンチン遺伝子内の一塩基多型(SNP)を新たなターゲットにして変異型ハンチンチン遺伝子を特異的に発現抑制する戦略を試みた。解析の結果、SNPを識別し、対立遺伝子特異的RNAiノックダウンを誘導できるsiRNAの設計に成功した。さらに、変異型ハンチンチン遺伝子上にあるSNPのタイプやそのハプロタイプをすみやかに判定するシステムの構築も完成させ、その特許出願を行った。これらの成果は、テーラーメイドのRNAi治療の実現に向けて大きく貢献すると考える。
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