2008 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオミクス技術を基盤としたインスリン抵抗性と糖代謝障害の分子機構解明
Project/Area Number |
20390258
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
浅野 知一郎 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70242063)
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Keywords | インスリン / 糖代謝 / 糖尿病 / グルコーストランスポーター / プロテオミクス |
Research Abstract |
インスリンの作用には、IRS-1/2を介したPI3-kinase/Akt活性化が極めて重要な役割を果たしている。我々は、IRS-1およびGLUT1に結合するタンパクを、免疫沈降からの複合体解析をLC/MS/MSのシステムを用いて網羅的に検索し、proryl isomerarse I(Pin1)と4F2hcをそれぞれ同定した。Pin1は、プロリンをtrans構造に変化させることでタンパクの構造変化をもたらし、機能を修飾する蛋白である。 次に、Pin1に結合するタンパクを検索したところ、TORC2が同定された。Pin1は高脂肪食負荷に伴って発現量が増加する。また、絶食で低下し、食事の再摂取によって発現が増加する。Pin1は、IRS-1に結合しインスリンによるシグナル伝達を顕著に亢進させ、またTORC2に結合し糖新生を抑制することが判明した。Pin1のKOマウスでは、インスリン抵抗性と耐糖能異常が認められた。また、Pin1をob/obマウスの肝臓に過剰発現させると、耐糖能は顕著に改善した。これらを総合的に判断すると、Pin1の発現を増加させたり、活性を上昇させる分子を探索することで、インスリン感受性を改善する新規糖尿病治療薬開発への可能性が考えられる。 また、4F2hcはGLUT1に結合し、タンパクの安定性を上昇させ、糖取り込みの上昇を導くことも明らかになった。
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