2008 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞の細胞内代謝・増殖・分化制御と白血病原因遺伝子が及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
20390269
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松村 到 Osaka University, 医学系研究科, 准教授 (00294083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金倉 譲 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20177489)
水木 満佐央 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (80283761)
織谷 健司 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (70324762)
柴山 浩彦 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (60346202)
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Keywords | 造血幹細胞 / 自己複製 / 白血病 / エネルギー代謝 / SIRT1 |
Research Abstract |
活性型チロシンキナーゼによる造血細胞の腫瘍化機構を明らかにするために、特発性好酸球増加症/好酸球性白血病の原因遺伝子FIP1L1/PDGFRα及びその変異体を造血幹細胞、骨髄系共通前駆細胞、リンパ系共通前駆細胞、骨髄単球系前駆細胞、赤巨核球系前駆細胞などに導入し、これらの細胞の系統決定、増殖、生存、腫瘍化に及ぼす影響を検討した。その結果、FIP1L1/PDGFRαは、いずれの細胞に導入された場合もサイトカイン非依存性の増殖を可能にするが、造血幹細胞に導入された場合のみ永続的な細胞増殖を伴う腫瘍化をもたらし、前駆細胞レベルに導入した場合には腫瘍化をもたらさないことが明らかとなった。さらにin vitroのreplatingアッセイでFIP1L1/PDGFRαは造血幹細胞の自己複製能を増強するが前駆細胞には骨髄系共通前駆細胞などの前駆細胞には自己複製能を付与しないことが明らかとなった。また、リンパ系共通前駆細胞、赤巨核球系前駆細胞などに導入した場合、通常の造血発生の機構では起こらない好酸球への分化が誘導された。これらの結果から、FIP1L1/PDGFRαの異常は造血幹細胞レベルでおこり、好酸球系細胞への分化を選択的に誘導することが明らかとなった。また、この機構としてFIP1L1/PDGFRαの下流分子Ras/MAPK系とp38MAPKが、c/EBPαやGATAファミリー転写因子群などの造血細胞の系統決定に関わる分子の発現や機能を制御し、好酸球への分化を誘導 することをRT-PCR法、ルシフェラーゼアッセイなどを用いて明らかにした(J Biol Vhem, in press)。 エネルギー代謝についてはSIRTIのノックアウトマウスの造血幹細胞を単離し、自己複製能などの機能をin vitro、in vivoで解析した。
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