2008 Fiscal Year Annual Research Report
トロンボモデュリン-HMGB1枢軸による生体防御の新機構
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20390274
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
丸山 征郎 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20082282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋口 照人 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (70250917)
川原 幸一 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (10381170)
清水 利昭 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (50468055)
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Keywords | 循環器・高血圧 / 感染症 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
以下のような結果を得ることができた。 1.TMに結合したHMGB1はトロンビン・TM複合体によって分解される 局所の侵襲部位で壊死細胞や樹上細胞などから、細胞外に遊離されたHMGBIが局所では、自然免疫、創傷治癒、そして止血のアジュバントとして作用するが、このHMGBIが血管内に侵入し、循環すると、遠隔臓器に炎症や止血反応が“転移"し、SIRS/DIC/MOFの病態基盤を形成する。このような炎症や止血反応が局所に封じ込める仕組みが内皮細胞のTMであることを我々は明らかにした。引き続き、今回の研究の結果、以下のことを明らかにしえた。 1)TMのN末端レクチン様ドメインに結合したHMGB1は生理活性を失い、その後トロンビン・TM複合体により、N末端部位のArg(10)-Gly(11)によって分解されることを突き止めた。このArg-Gly配列は、フィブリノゲンをはじめとするトロンビンの基質に広く分布している配列である。 2)DICや実験的DICで遺伝子組換えTM投与ラットの血中にはこのフラグメントが存在することから、トロンビン・TM複合体によるHMGB1の分解はin vivoでも起きうるものと想定された。 これらの結果より、血管内皮細胞上のTMは、局所で産生されたHMGB1を局所に留めおき、その全身化を防いでいるものと考えられた。 2.HMGB1側の結合部位 HMGB1のTMのレクチン様ドメインに結合する部位に関しては明らかにすることができなかった。引き続き解析中である。 3.その他の進展 TMはそのほかにエンドトキシンや、生体内proinflammatory分子、を吸着・分解することを見出した これらの結果、TMは侵襲局所で産生された、凝固・炎症・細胞障害性の分子の血管内侵入を広範にブロックし、血管内を“聖域化"しているという新しいコンセプトを提出しつつあるところである。
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