2010 Fiscal Year Annual Research Report
トロンボモデュリン-HMGB1枢軸による生体防御の新機構
Project/Area Number |
20390274
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
丸山 征郎 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任教授 (20082282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋口 照人 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 准教授 (70250917)
川原 幸一 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 助教 (10381170)
清水 利昭 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (50468055)
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Keywords | 循環器・高血圧 / 感染症 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
【研究目的】 本研究は、代表的「“Alarmins、DAMPs(Danger Associated Molecular Patterns)”である核内DNA結合蛋白HMGB1のターンオーバ/生体内運命と、【TM-HMGB1枢軸】による生体制御しくみ、その全体像」を明らかにすることを目的として実験を行った。 【研究結果】 研究で判明したことは以下のようなことである。 1.生体内では内皮細胞のトロンボモデュリン(TM)が局所で生成されたHMGB1の血管内侵入と全身化を防いでいるということが示唆された。それはin vitroの結果で示されたが実際に遺伝子組換えTMのヒトおよび小動物への静注により、血中HMGB1が低下したことからも推定された。 2.このことを直接照明するため、TM・トロンビン複合体により試験管内で生成されたdes-HMGB1(HMGB1によりそのN末端から11残基のアミノ酸が切断された分子)の抗体作成に掛かったが、現時点で得ている抗体はまだ30%くらいはインタクトHMGB1ともクロス反応し、特異的な抗体は得ていない。これは引き続き検討してゆくことにしている。 3.HMGB1の催炎症活性は、HMGB1にエンドトキシンが共存すると著しく増強された。 4.そのほかにも、HMGB1の催炎症活性を増幅するDAMPs,PAMPsをいくつか発見した。 現在その分子細胞機構を研究中である。 5.HMGB1の催炎症活性がエンドトキシンやその他のPAMPs,DAMPsなどその他の“コンパニオン”存在下で増強されるという観察は、おそらく生体内部の損傷部位でのHMGB1のヴィヴィッドな生理活性を推定させるものである。すなわちHMGB1は生体内部での損傷部位、感染巣などの“環境”を「読んで」その場に最もふさわしい活性を発揮するのではないか?!ということである。 現在この点について研究を推進しつつある。
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