2008 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ造血器腫瘍に関与するゲノム異常領域責任遺伝子の分化増殖における役割
Project/Area Number |
20390277
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
瀬戸 加大 Aichi Cancer Center Research Institute, 遺伝子医療研究部, 部長 (80154665)
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Keywords | MALTリンパ腫 / 6q23 / TNFAIP3 / NF-kappaB / MALT1 / BCL10 / API2-MALT1 |
Research Abstract |
ゲノム異常領域の解明と責任遺伝子の単離という課題について、これまでに解析してきた症例のうち、眼付属器MALTリンパ腫に高頻度に認められる欠失領域として6q23.3領域を明らかにしていたが、この領域の責任遺伝子がTNFAIP3(A20)であることを明らかにした。TNFAIP3はNF-kappaBを抑制するを持っているので、TNFAIP3の欠失は結果として、NF-kaapBの活性化を引き起こすことが推測される。MALTリンパ腫に関与する染色体転座として、t(11;18)(q21;q21)[=API2-MALT1]、t(1;14)(p22;q32)[=BCL10-IgH]、t(14;18)(q32;q21)[=IgH-MALT1]が知られているが、これらは、免疫グロブリン受容体あるいはT細胞受容体からのシグナルを伝えるシグナル伝達系に関与し、いずれも、NF-kappaBの活性化を引き起こすことが知られている。今回のがん抑制遺伝子としてのTNFAIP3の発見はMALTリンパ腫発症にNF-kappaBの活性化がきわめて重要な役割を果たしていることを明らかにし、大変重要な知見である。また、6q領域の欠失はリンパ系腫瘍に高頻度に認められる欠失として知られていたが、今回の研究は世界に先駆けてその領域の原因遺伝子を解明した点でも意義が高い。本遺伝子の欠失がB細胞の分化と増殖にどのような意義があるかについて検討するため、様々な種類の悪性リンパ腫について検討を進めていく予定である。また、機能的な検討をするために、EBウイルス感染B細胞(EB-LCL)を用いて、SiRNAなどの手法を用いて、ノックダウンしどのような変化をもたらすかについて検討しつつある。予備的実験ではTNFAIP3をノックダウンすることでNF-kappaBの活性化が引き起こされることが示唆されている。
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Research Products
(18 results)