2009 Fiscal Year Annual Research Report
GATA1遺伝子変異による一過性白血病の分子機構の解明と分子標的療法の開発
Project/Area Number |
20390289
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
伊藤 悦朗 Hirosaki University, 大学院・医学研究科, 教授 (20168339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土岐 力 弘前大学, 大学院・医学研究科, 講師 (50195731)
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Keywords | GATA1 / 白血病 / 転写因子 / ダウン症 / TAM / 発現クローニング |
Research Abstract |
GATA1変異による一過性白血病(TAM)の分子機構の解明し分子標的療法を開発するために、本年度は以下の研究を進めた。 1.TAMの発症の仕組みを明らかにする目的で、その生存・増殖に不可欠なシグナル伝達系の解析を行なった。ほとんどのTAM細胞で、恒常的STAT3のリン酸化が認められ、TAMの発症にJAK/STAT系の分子の異常が存在することが示唆された。そこで、変異遺伝子を絞り込むために、恒常的STAT3のリン酸化の仕組みの解明を進めた。STAT3のリン酸化に関わるgp-130のシグナル伝達系に注目し、サイトカインあるいはサイトカイン受容体に対する中和抗体を用いてSTAT3のリン酸化の解析を行った。その結果、SCF依存性DS-AMKL細胞株であるKPAM1細胞では、LIFのautocrineによって恒常的STAT3の活性化が生じていることが明らかになった。以上の結果より、KPAM1細胞ではLIFがautocrineに関わるサイトカインであり、SCF/KIT系からJAK/STAT系にシグナルを伝えていることを明らかにした。これらのシグナル伝達系の分子を標的にした重症TAMの治療法の開発が原理的に可能であると思われる。 2.TAMのclass 1変異を明らかにする目的で、本年度はレトロウイルスベクターを用いた発現クローニング系を確立した。SCF非依存性DS-AMKL細胞株であるCMK11-5からmRNAを抽出し、pMX発現ベクターでcDNAライブラリーを構築した。PLAT-E細胞を用いてウイルスを作成し、SCF依存性KPAM1(Slc7a1)に導入し、SCF非依存性に増殖するクローンを選択した。その結果、RasGRP4遺伝子の単離に成功した。来年度はTAM細胞から発現ライブラリーを作成し、発現クローニングを行う予定である。
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