2010 Fiscal Year Annual Research Report
エピゲノム情報を基盤とした小児自閉症患者の病態把握と治療法の確立
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20390295
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
久保田 健夫 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (70293511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平岡 賢三 山梨大学, クリーンエネルギー研究センター, 特任教授 (80107218)
手塚 英夫 山梨大学, 総合分析実験センター, 准教授 (70155456)
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Keywords | 遺伝学 / 遺伝子 / ゲノム / 脳神経疾患 / 発現制御 |
Research Abstract |
【研究の目的】 自閉症疾患のレット症候群の原因が、メチル化DNA結合タンパク質(MeCP2)であることが判明したが、本症の発症カニズムは不明であった。このような中、われわれはMeCP2タンパク質の標的に2種の神経細胞接着因子を見いだし、これらと本症の神経病態との関連を明らかにすることにした。また、自閉症にDNAのメチル化強化栄養素(葉酸)が有効であるが、その脳内動態は不明であった。このため、質量分析に基づく2次元解析法を開発し、これを明らかにすることにした。 【本年度の研究実績】 〔新たなMeCP2標的分子の解明〕 1. ヒト神経系培養細胞(SHSY-5Y)株において、PCDHB1遺伝子とPCDH7遺伝子プロモーター領域がMeCP2タンパク質の結合の土台となるDNAのメチル化状態を明らかにした。 2. siRNA技術を用いてMECP2のSHSY-5Y内発現を低下させると、PCDHB1とPCDH7の発現上昇を認めた。 3. 両遺伝子ともMecp2ノックアウトマウスの脳組織やレット症候群患者の死後脳組織における発現上昇が認められた。 4. 以上より、これらの分子はMeCP2の標的候補であり、とりわけPCDHB1の過剰発現是正がレット症候群の治療に有効な可能性が示唆された。 〔マウス脳の質量分析〕 1. メチル化基質投与に際し、正常マウス脳におけるプローブ型エレクトロスプレーの有用性を検証した。 2. その結果、低分子化合物(質量にして最大1094.9M/Zまで)の測定が可能であり、組織上で多点で解析することで2次元イメージを得ることができることを明らかにした。 3. これらの結果から、葉酸代謝産物(S-アデノシルメチオニン、質量にして~400M/Z)の脳内分布の把握も可能であることが示唆され、今後、プローブ型エレクトロスプレー法を用いて、葉酸投与マウスの脳内の葉酸代謝産物の分布を明らかにする予定である。
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Research Products
(6 results)