2011 Fiscal Year Annual Research Report
Survivinを標的とした活性型Flt3陽性造血腫瘍に対する新たな治療戦略開発
Project/Area Number |
20390298
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
福田 誠司 島根大学, 医学部, 准教授 (30273147)
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Keywords | Survivin / ITD-Flt3 / p21 |
Research Abstract |
本研究の目標はITD-Flt3陽性急性骨髄性白血病(AML)細胞の異常増殖に関わるSurvivin機能を明らかにし、正常造血幹細胞(HSC)とは異なるSurvivin下流のシグナル分子を同定することである。これらを基に、副作用が少ない選択的分子標的療法を開発する。以下の2点を明らかにした。 1.ITD-Flt3の下流に存在するSurvivinは、正常造血前駆細胞ではp21^<CDKN1>(p21)依存性、非依存性に機能を発揮する。そこで、ITD-Flt3の異常増殖におけるp21機能を解析した。ITD-Flt3によりSurvivin同様にP21の発現は上昇したが、p21欠損マウス骨髄を用いたITD-Flt3による異常増殖は更に増大した。すなわち、Survivinと異なり、p21は異常増殖に対して抑制的であった。更にp21の欠損により増大するITD-Flt3陽性造血前駆細胞の増殖は転写因子pbx1の増加を伴っていた。また、ITD-Flt3を造血前駆細胞に導入するとp21発現は上昇し、逆にpbx1発現は減少した。 2.次にp21の欠損により増大するITD-Flt3陽性造血前駆細胞の増殖がpbx1を介しているかを解析した。Pbx1に対する2種類のshRNAをp21欠損ITD-Flt3陽性造血前駆細胞に導入したところ、p21欠損により増加したITD-Flt3陽性造血前駆細胞の過剰増殖は完全に消失した。したがって、p21欠損によるITD-Flt3陽性造血前駆細胞の過剰増殖はpbx1が誘導されることにより生じたと考えられる。これらの結果は、ITD-Flt3は自分自身が発する異常増殖信号をp21/pbx1経路を通して抑制することを示唆する。 したがって、p21/pbx1経路は腫瘍分子ITD-Flt3のnegative feed back機構である。この機能を利用すればITD-Flt3陽性造血器腫瘍細胞の増殖を抑制することが可能となりうる。
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Research Products
(8 results)