2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20390300
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
南沢 享 Waseda University, 理工学術院, 教授 (40257332)
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Keywords | 発達小児科学 / 小児循環器学 / 骨格筋・平滑筋 / 未熟児医学 / 新生児医学 / 血管病態学 / 分子生理学 / 生理活性物質 |
Research Abstract |
動脈管の開存、閉鎖の詳細な機序を理解することは、小児医療上、非常に重要である。時間的に異なる2つの過程が動脈管の閉鎖を制御している。非常に早い閉鎖過程として血管収縮があり、時間をかけておこる閉鎖過程として、遺伝子蛋白質レベルでの変化に由来する血管構造の変化がある。本研究では、動脈管の閉鎖の分子機構、特に血管構造の変化をきたす制御因子を同定し、内膜肥厚に及ぼす機序を解明することを目的とした。 1)プロスタグランジン刺激による血管内膜肥厚 ラット動脈管培養平滑筋細胞を用いた研究において、動脈管血管拡張を促すプロスタグランジン刺激が、細胞内cAMPの産生を促し、PKAシグナルとEpacシグナルが非常に強く活性化される。PKAシグナルはヒアルロン酸合成酵素2型の転写活性を増加させ、ヒアルロン酸産生を促し内膜肥厚を促進する。一方、Epacシグナルでは、ヒアルロン酸産生を促さないにも拘わらず、内膜肥厚を促進させることを発見した。その機序として、Epacには強い細胞遊走能があることを見出した。 2)T型カルシウムチャネルを介する細胞内カルシウムによる血管内膜肥厚 ラット動脈管には、T型カルシウムチャネル、特にα1Gアイソフォームが動脈管に多く発現し、出生後の血液中酸素濃度上昇に伴い、チャネル活性が亢進し、細胞内カルシウムが上昇する。これによって、動脈管の血管収縮を促すと共に、細胞遊走能も亢進することを見出した。 本研究成果によって、内膜肥厚形成を含め、解剖学的閉鎖の分子機序が明らかになれば、従来の血管拡張収縮制御機序に基づく治療法とは異なる、新たな治療法の開発へとつなげてゆくことが可能となる。
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Research Products
(21 results)