2011 Fiscal Year Annual Research Report
動脈管酸素感受機構におけるシグナル伝達のプロテオミクス
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20390303
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
中西 敏雄 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (90120013)
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Keywords | プロテオミクス / 動脈管 / 酵素感受性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、動脈管(DA)が酸素を感受して収縮する機構のシグナル伝達系を解明することである。 1)Kv1.5複合体、Cav1.2複合体について Kv1.5複合体のメンバーとして、家兎心試料からATP synthase alphaを検出した。このタンパク質は、HEK293細胞にKv1.5を導入して免疫沈降を実施した際にも複合体のメンバーの一つとして検出されたものである。また、Cav1.2複合体の一つとしてフィブリノーゲンが検出されている。現在、いずれの検出タンパク質についても確認実験を計画している。 2)筋収縮に関わる主要な遺伝子の発現量をリアルタイムPCR法により測定 小胞体や筋原線維のCa感受性のシグナル伝達を検討するためには、数多いパスウェイメンバーからターゲットを絞り込む必要がある。昨年度に引き続き胎生21,27,30日の家兎胎仔のDAと肺動脈(PA)について収縮弛緩制御機構の主なメンバーのmRNA発現量を測定した。アクチン-ミオシン複合体に属するトロポミオシンαとβがいずれもDAで高発現であり、ミオシン軽鎖1,2,3のうち骨格筋型の2がDAで特異的に高発現であった。細胞内にCaを流入するCa^<2+>チャネル(Cav1.1と1.2)はいずれもDAで高発現であった。受容体からの刺激で活性化されるホスホリパーゼCのL1,E1,H1はDAで高発現、B4とD4は生後2日の新生仔DAで特異的に高発現であった。プロテインキナーゼCのうちA,D,H1がDAには多く、B,Gは低発現であった。小胞体からCaの放出を担うCa^<2+>-ATPaseは、ATP2A2がDAで発現が高い。加えて抗酸化酵素でありシグナル伝達に関与するperoxiredoxin 4がDAで高発現することが判明した。本年度までの研究成果により、酸素感受性機構と血管収縮制御に関わる主要なターゲットが絞り込まれてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動脈管の収縮を担うタンパク質を直接検出するという点でやや遅れているが、Kv1.5やCav1.2の複合体のメンバーの同定作業は進んでいる。また、定量PCR法を併用することにより、未熟成熟の動脈管における収縮機構を担う遺伝子群の発現の情報を網羅しつつあり、動脈管特異的な酸素による収縮拡張のメカニズムの解明に近づいている。
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Strategy for Future Research Activity |
Kv1.5やCav1.2の複合体の構成メンバーの同定・確認作業を続行する。RhoB抗体が調製済であるが、複合体の同定に至っていないため、次年度はRhoを中心に研究を進める。また、定量PCR法により発見された動脈管特異的な発現遺伝子については、動脈管の免疫染色を行い、免疫沈降法により複合体構成タンパク質群を見いだしたい。
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