2010 Fiscal Year Annual Research Report
情動-認知機能制御の脳内基盤とその障害に関する脳機能画像解析研究
Project/Area Number |
20390313
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山脇 成人 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40230601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 泰昌 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (70314763)
山下 英尚 広島大学, 病院, 講師 (50294591)
岡田 剛 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 特任助教 (10457286)
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Keywords | MEG / 安静時fMRI / パーソナリティー特性 / 摂食障害 / 扁挑体 / 前頭前野 / うつ病 / 認知行動療法 |
Research Abstract |
本年度は、情動-認知機能制御の脳内基盤とその障害に関する研究をさらに進めるために、これまで行ってきた情動認知賦活課題遂行中の脳活動測定を継続するとともに、脳形態や安静時の脳活動、皮膚電気伝導水準などの生理指標などの測定も行った。 その結果、健常人を対象とした検討により、(1)悲しみにより、MEGで測定される一次体性感覚野の活動に変化が生じ、痛み刺激の閾値が低下する。(2)セロトニン低下時には、安静時fMRIで測定される楔前部および左中前頭眼窩野の活動が低下し、左上頭頂葉、左中心傍小葉、右中心前回の活動が亢進する。(3)セロトニン低下時の左中前頭眼窩野の活動低下は、POMSで測定した抑うつ-落胆スコアの増加と相関する。(3)神経症傾向が高い個人ほど右中前頭回および楔前部の活動が低いなど、安静時fMRIで測定された脳活動は個人のパーソナリティー特性と相関する。(4)曖昧な表情を、嬉しいあるいは悲しい文脈で認知する際に男性と女性ではfMRIで測定される脳活動が異なる。(5)認知的再評価は、ネガティブ刺激到来に関する主観的不安のみならず、皮膚生理的不安反応も軽減する可能性がある。などの結果が得られた。 さらに、気分障害や摂食障害などの精神疾患を対象とした検討により、(1)摂食障害では、3つのサブタイプ(神経性食欲不振症-制限型、神経性食欲不振症-過食・排出型、神経性過食症)毎に、ネガティブな単語刺激に対する扁桃体や前頭前野の脳賦活パターンが異なる。(2)うつ病患者では、右上側頭回の体積が大きいほど、認知行動療法への反応性が低い。などの結果が得られた。 これらの研究成果は、情動-認知機能制御の神経生理学的基盤およびその個人差、気分障害や摂食障害における情動-認知制御障害とその治療に関連した脳内基盤を明らかにする上で非常に重要な知見と考えられた。
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Research Products
(6 results)