2009 Fiscal Year Annual Research Report
精神疾患におけるオリゴデンドロサイト前駆細胞の役割
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20390317
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
楯林 義孝 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都精神医学総合研究所, 副参事研究員 (80342814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 尚美 財団法人東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 非常勤研究員 (30450589)
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Keywords | 大うつ病 / 双極性障害 / 統合失調症 / オリゴデンドロサイト / オリゴデンドロサイト前駆細胞 / グルタミン酸 / グリシン |
Research Abstract |
一昨年度、我々は凍結死後脳を用いて、大うつ病(major depressive disorder : MDD)、双極性障害(bipolar disorder : BPD)、統合失調症(schizophrenia : SCH)の前頭前野灰白質のオリゴデンドロサイト(OL)系譜の細胞数が減少していることを発見した。しかし、それらの細胞が、ミエリン形成細胞(OL)分化以外に、脳内でどのような機能を持っているのか、ほとんど解っていない。近年、我々は成体脳より、より簡易的、高純度で大量にオリゴデンドロ前駆細胞サイト(OPC)を分離培養する方法を確立し、ジーンチップを用いて網羅的に遺伝子発現解析を行なった。これらの培養細胞は、OPC特異的遺伝子が発現しており、in vitroでグルタミン酸による細胞機能を探索したところ、さまざまな遺伝子が変化する事を確認した。しかし、OL分化に関する遺伝子にはいっさい変化を認めず、グルタミン酸には分化促進機能がない事が判明した。一方、細胞数は増加し、グルタミン酸代謝に関するさまざまな遺伝子が変化している事から、グルタミン酸代謝調整に関与している可能性が示唆された。さらに15分程度の短期刺激によって、培養液中のグリシン濃度が飛躍的に増加した。以上の事から、OPCが脳内の細胞伝達、特にグルタミン酸伝達において重要な役割を担っている事が示唆された。現在、これらの結果については論文を投稿中である。
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