2010 Fiscal Year Annual Research Report
頭蓋内病変に対する陽子線治療の最適化に関する基礎的研究
Project/Area Number |
20390323
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坪井 康次 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (90188615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安西 和紀 日本薬科大学, 薬品物理化学分野, 教授 (70128643)
高野 晋吾 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (50292553)
榮 武二 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (60162278)
盛武 敬 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (50450432)
安岡 聖 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (50200499)
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Keywords | 粒子線治療 / 脳腫瘍 / ラジカル / RBE / 癌幹細胞 |
Research Abstract |
本課題では現下の陽子線治療に伴う「生物学的不確実性」を克服し、頭蓋内疾患に対する陽子線治療の効果を向上させるために、(1)高エネルギー陽子線のラジカルを介する放射線化学的効果の検討、(2)異なる生物学的エンドポイントにおける陽子線のRBEの検討、(3)悪性脳腫瘍幹細胞と放射線耐性の解析、を行なった。 課題(1)、ラジカル:陽子線(150MeV)の異なる2点(plateau, Bragg peak)とエックス線(200kV)のlineal energy値(y値)を測定した。それらの各点でssDNA溶液を照射し、生じる8-OHdGを測定して酸化損傷の違いを明らかにした。さらに、ラジカル消去剤エダラボンによりラジカルの作用を抑制した場合の酸化損傷の変化を明らかにした。また、各点での照射後に、ssDNAと腫瘍細胞(MOLT4)に生じるDNA二本鎖切断の頻度を明らかにした。現在、これらの結果を論文として執筆中である。 課題(2)、生物学的効果比(RBE):脳腫瘍細胞(ONS76)と急性白血病細胞(MOLT4)を用いて、陽子線(200MeV)のエックス線(10MV)に対するコロニー形成アッセイによるRBEを明らかにした。さらに、各照射により誘導されるアポトーシスとDNA二本鎖切断を定量的に解析して、異なった生物学的エンドポイントにおける陽子線とエックス線との違いを明らかにし、論文として発表した。 課題3、がん幹細胞:培養脳腫瘍細胞(ONS76)から放射線耐性クローンを20株単離した。それらを対象としてCD133の発現を解析したところ、8クローンで上昇がみられ、特に3クローンでは大幅な上昇がみられた。これらの3クローンではSP分画も増加し、コロニー形成アッセイやSphere形成アッセイでも増殖能の上昇がみられ、がん幹細胞の特性をもつことが示唆された。現在、これらの結果を論文として執筆中である。
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Research Products
(17 results)