2010 Fiscal Year Annual Research Report
陽子線・炭素線の生物学的効果に関する基礎的比較・検討
Project/Area Number |
20390327
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
菱川 良夫 神戸大学, 医学研究科, 客員教授 (20122335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 昌雄 神戸大学, 医学研究科, 客員准教授 (50210018)
佐々木 良平 神戸大学, 医学部附属病院, 特命准教授 (30346267)
出水 祐介 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (50452496)
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Keywords | 癌 / 粒子線治療 / 陽子線 / 炭素線 / 生物学的効果 / 活性酸素種 |
Research Abstract |
【内容】前年度、我々は「照射単独における活性酸素種(ROS)発生はX線>陽子線>炭素線」であり、「N-アセチルシステイン(NAC) 300μM併用で照射によるROS発生はほぼ抑制される」という重要な研究成果を得たが、細胞生存率の差につながる成果は得られなかった。そこで、照射によるROS発生は持続的であり、一時的なNACによるROS抑制では細胞生存率に影響を及ぼさないのではないかと考えた。まず、照射単独における照射6~7日後のROS発生を測定したところ、非照射細胞と比べて3.3~3.8倍であった(線種間で有意差なし)。一般的に照射によるROS発生は一時的と考えられているので、これは照射後の細胞が持続的にROSを発生させているということを示した新しい知見である。次に、照射時~培養期間中にNAC 300μMを持続的に作用させることによりROSの発生を2.2~2.4倍まで抑制することができた(線種間で有意差なし)。さらに、NACの濃度を3mMに上げて同様の実験を行ったところ、ROSの発生を1.3~1.5倍に抑制することができた(線種間で有意差なし)。この結果を受けて、照射時~培養期間中にNAC 1mMおよび3mMを持続的に作用させた状態でコロニー形成法にて細胞生存率を評価した。NAC用量依存性に細胞生存率の上昇が見られ、X線・陽子線・炭素線の殺細胞効果におけるROSの重要性が示唆された。尚、細胞生存率上昇の程度は、1mMでは線種間で差は見られなかったが、3mMでは陽子線の上昇の程度が大きかった。この理由についてはさらなる研究が必要である。 【意義・重要性】照射によるROS発生は一時的ではなく、持続的であるという新しい知見が得られた。また、ROS発生を持続的に抑制することで、細胞生存率が上昇することが分かり、NACが放射線(粒子線)防護剤として臨床応用できる可能性が示唆された。
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[Presentation] Particle radiotherapy Using Protons or Carbon Ions for Adenoid Cystic Carcinoma of the Head and Neck2010
Author(s)
Y.Demizu, K.Terashima, M.Mima, O.Fujii, Y.Niwa, K.Morimoto, D.Miyawaki, R.Sasaki, Y.Hishikawa, M.Abe, M.Murakami
Organizer
52^<nd> Annual Meeting of American Society for Radiation Oncology
Place of Presentation
San Diego(USA)
Year and Date
2010-11-02
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