2010 Fiscal Year Annual Research Report
拒絶反応と免疫順応・寛容に関与する抗原、抗体、補体、炎症、凝固のダイナミズム解析
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20390340
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 孝彰 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 寄附講座教授 (70314010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 晃士 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90362251)
丸山 彰一 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (10362253)
羽根田 正隆 名古屋大学, 医学系研究科, 寄附講座講師 (50436995)
岸田 聡 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (20402563)
岩崎 研太 名古屋大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (10508881)
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Keywords | ABO血液型不適合移植 / 異種移植 / 抗原抗体反応 / 血管内皮細胞 / 補体 / 凝固 / 免疫順応 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究の国的は、臓器移植後の内皮細胞上で抗原抗体反応から引き起こされる補体、炎症、凝固反応の詳細な解析を行い、ABO血液型不適合・クロスマッチ陽性移植の安全かっ効果的な医療の提供、さらには異種移植用の遺伝子組換えブタの開発に関する情報提供を行うことである。平成22年度における研究成果は下記の通りである。(1)cell Sorterを用いて樹立した遺伝子導入A/B型発現内皮細胞を用い、抗A/B抗体接着とHLA抗体の接着による細胞のシグナル伝達経路の違いを比較検討した。A/B抗原に対する抗体の接着はERKシグナル経路を抑制し、CD55,CD59などの補体制御因子の発現を増強した。 その結果として、その後の補体活性化による細胞傷害が抑制され、Accommodation(免疫順応)の機序がHLA抗体の場合(PI3K/Akt経路活性化とHO-1など抗酸化物質誘導)と異なることが示唆された。また、補体および凝固活性(トロンビン)存在下ではERK経路が活性化され、その後の細胞傷害抑制効果は誘導されなかった。Accommodationの誘導には、補体、凝固系の抑制が重要であると考えられた。(2)維持期腎移植患者」の末梢血FQxP3 mRNA量の低下と慢性抗体関連型拒絶反応(CAMR)の関連が認められた。また、HLA抗体の中でもclassIよりもclass II、DQBよりもDRBに対する抗体がCAMRと強い関連が見られた。(3)昨年実施したブタ内皮細胞への遺伝子導入は細胞の脆弱性に問題があったため、本年は作出に成功したhTM(ヒトトロンボモジュリン)導入クローンブタの大動脈内皮細胞を採取して機能解析を行った。トロンビン、プロテインC投与後の活性型プロテインC(APC)産生を確認した。また、hTM発現細胞では、LPS, TNFα刺激によるTissue Factor活性の増強を抑制し、炎症により惹起される接着因子(E-selectinなど)の発現を軽減した。hTMは異種抗原(αGal抗原)抹消、補体制御因子発現に次ぐ、凝固制御に重要な膜タンパクであると考えられた。
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Research Products
(28 results)