2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20390341
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久保 肇 京都大学, 医学研究科, 講師 (50362520)
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Keywords | がん幹細胞 / 転移 / 分子標的治療 |
Research Abstract |
【目的】 (1)大腸癌幹細胞が本当に実体として存在するのか?間質細胞との関係。 (2)癌幹細胞の分子標的治療は可能か? 【実績】 (1)手術によって摘出されたがん組織から、がん細胞株を4種樹立した。いずれのがん細胞株からもCD133+細胞およびCD133-細胞をFACSによって分離した。CD133+細胞は、ヌードマウスへの移植性を示すにも関わらず、CD133-細胞はその移植性が認められなかった。よって、実際のヒトからのサンプル内にもがん幹細胞が存在することが示された。さらに、CD133-細胞と間質細胞を同時に移植すると移植性を示すことがわかった。これは、CD133-の非がん幹細胞から、間質細胞の作用によってがん幹細胞へと転換することを示すものである。 (2)大腸がん転移in vivoモデルを用いた。CD133+細胞、CD133-細胞いずれも肝臓転移することが示された。CD133-細胞の転移巣にも、CD133+細胞が存在する。つまり、これは(1)の結果によるCD133-細胞からCD133+がん幹細胞への転換がおこったことを示す。このモデルにおいて、ケモカインSDF-1阻害剤によってがん転移が抑制される。このことから、がん幹細胞生成に対する分子標的として、SDF-1は標的候補となることが示唆される。 【意義】 大腸がんの幹細胞の実体を明らかにした。また、がん幹細胞には、1次的に存在するものと、2次的に誘導されるものがあることがわかった。分子標的として、がん幹細胞生成プロセスが標的となることが示唆され、SDF-1はその1つの候補である。
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