2008 Fiscal Year Annual Research Report
血小板製剤を用いた新規肝再生促進/線維化・障害抑制療法開発のための橋渡し研究
Project/Area Number |
20390350
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大河内 信弘 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (40213673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 聡一郎 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教 (40436275)
近藤 匡 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (00375495)
池田 博 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (50272167)
福永 潔 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (20361339)
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Keywords | 肝臓 / 血小板 / 肝再生 / 肝線維化 / 治療法 |
Research Abstract |
本研究は血小板による肝細胞増殖作用に着目し、血小板成分を応用した生体材料による新しい難治性肝疾患治療法の開発を行うことを目的としている。平成20年度はラット肝硬変モデルに対して血小板の肝硬変治療効果を検討した。ジメチルニトロサミンによる肝硬変ラットに対して実験モデルとして血小板の増殖因子であるトロンボポエチンを用いて正常の2倍に血小板を増加させた血小板増加群、トロンボポエチンを投与しない血小板正常群、さらにトロンボポエチン投与後に抗血小板抗体を用いて血小板数を正常の10分の1に減少させた血小板減少群を作成した。この3群に対し70%肝切除を施行すると、肝切除48時間後の肝再生は血小板増加群が血小板正常群に対し有意に亢進した。また血小板増加群は血小板正常群に比較して肝線維化の著明な改善を認めた。血小板減少群は血小板増加群に比較して肝再生の遅延と肝線維化の増悪を認めたことから、肝硬変における肝線維化の改善と肝再生の促進はトロンボポエチンではなく血小板の直接作用であることが明らかとなった。血小板の肝線維化抑制効果のメカニズムをより詳細に解明するため、肝臓において線維を産生するヒト肝星細胞株を入手した。肝星細胞は通常はビタミンA貯留細胞として機能しているが、活性化するとalphaSMAを発現する線維芽細胞様の細胞に変化し、コラーゲンを産生する。ヒト血小板をヒト肝星細胞に添加すると肝星細胞の alpha SMA を有意に抑制することを明らかにした。平成20年度の研究によって、血小板の肝線維化抑制効果およびそのメカニズムが解明され、血小板による難治性肝疾患治療の有用性が示唆された。
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Research Products
(2 results)