2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内核外輸送阻害とエピジェネティクス制御を標的とした消化器癌分子治療の開発
Project/Area Number |
20390351
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松原 久裕 Chiba University, 大学院・医学研究院, 教授 (20282486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿久津 泰典 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教 (00375677)
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Keywords | 消化器癌 / 細胞内分子移動 / エピジネティクス / 分子治療 |
Research Abstract |
遺伝子の導入、細胞内での遺伝子の発現、細胞内での分子移動の制御、遺伝子導入細胞による生体の応答を利用した新たな難治性消化器癌に対する新たな治療を目指している。これまでの単に遺伝子を導入する、単独の分子標的を目的とした薬剤のみでは、ヘテロジェナイティーという特徴をもつ難治性の消化器癌の性質からみるとその治療には限界がある。当研究では、遺伝子を導入する時点から、ピストンのアセチル化脱アセチル化、転写、翻訳され機能するタンパクとして発現し、細胞内を輸送され、さらに分解されるという細胞内でのダイナミックな動き、エピジェネティクスを制御することを目指している。今回、HDAC阻害剤を食道癌細胞に作用させることにより、遺伝子治療に用いるアデノウイルスベクターの細胞内導入に必要なコクサッキーアデノウイルスレセプターの発現が増強すること、それにより遺伝子導入高率が増加すること、実際の遺伝子治療に用いるp53遺伝子発現が増強することを確認、報告した。また、分子の細胞間輸送を制御することによる癌治療は新たな癌分子治療を考える上で極めて重要であり、レプトマイシンBを用いて核から細胞質への分子輸送を阻害することにより核内にp53分子が蓄積することが確認された。さらにp53分子より下流の分子の転写が増強していることも明らかになり、細胞死も誘導可能であった。これらの化合物はトランスレーショナルリサーチの重要なシーズの1つであり、分子治療を展開するうえで極めて有用である。今後、in vivo電気穿孔法を含めて速やかに臨床研究へ移行したいと考えている
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