2008 Fiscal Year Annual Research Report
減黄過程中のδビリルビン濃度の推移とアルブミン半減期および機能肝細胞総量との関連
Project/Area Number |
20390352
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
今村 宏 Juntendo University, 医学部, 准教授 (00283268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 琢 東京大学, 医学部, 講師 (30302722)
百瀬 敏光 東京大学, 医学部, 准教授 (20219992)
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Keywords | 閉塞性黄疸 / 減黄 / デルタビリルビン / アンチピリンクリアランス |
Research Abstract |
本年度は、閉塞性黄疸症例8例に対して、減黄過程中のデルタ・ビリルビン(アルブミン結合型ビリルビン)と非デルタ・ビリルビン(アルブミン非結合型ビリルビン)の推移、尿中のビリルビン排出の推移を検討しアンチピリン負荷試験を施行した。減黄前、減黄後3日,7日,14日の総ビリルビン値、デルタビリルビンの割合(HPLCによる測定)の推移は以下の通りであった。総ビリルビン:12±7.5mg/dL(range5.0-31.3mg/dL)、6.6±3.7mg/dL(range2.2-14.9mg/dL)、4.6±2.9mg/dL(range1.7-11.5mg/dL)、3.0±2.1mg/dL(range1.2-4.6mg/dL);デルタビリルビン:45.2±8.9%(38.3-66.5%),71.7±13.9%(53.9-88.1%),81.3±12.6%(65.7-96.5%),89.0±8.5%(76.2-97.1%)。非デルタビリルビンの半減期は3.7±1.6日(2.1-7.5日)であり、一方デルタ・ビリルビンの半減期は14.0±4.4日(8.2-24.8日)であった。全ての症例で非デルタビリルビンの濃度が2mg/dL以下に低下した時点で、尿中へのビリルビンの排泄は見られなくなった。アンチピリンクリアランスは血清を凍結保存中で測定を今後行う。ここまでの検討での結論:減黄処置後、非デルタビリルビンは半減期2-3日で低下するが、デルタビリルビンの半減期は2週間であり、結合しているアルブミンの半減期を反映している。この結果、総ビリルビン値を指標とした検討では減黄が十分完了していない時点(減黄後ほぼ一週間)で、血中のビリルビンの大部分は蛋白結合した非デルタビリルビンとなっている。なおこの過程は尿中ビリルビンの排泄を測定することにより非侵襲的に推定できる。
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