2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトES細胞の機能的肝細胞への分化誘導法の確立とその再生医療への応用
Project/Area Number |
20390358
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小林 直哉 Okayama University, 大学病院, 講師 (10325102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小出 典男 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20142333)
池田 正徳 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (30315767)
大原 信哉 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (90325100)
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Keywords | ヒトES細胞 / 細胞・組織 / 再生医学 / 移植・再生医療 / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
ヒトES細胞を使用した当該研究課題を,岡山大学大学院医歯薬学総合研究科・病態制御科学専攻腫瘍制御学講座のヒトES細胞専用実験室(臨床研究棟8階)にて安全に施行し得た。常に胚提供者への感謝の念をもって実験を行った。 ポリスルフォン製の中空糸と装置内に注入された細胞が付着できるようにポリアミノウレタン加工不織布からなるバイオ人工肝臓装置を開発し、未分化ヒトES細胞2000万個をバイオ人工肝臓デバイス(有効長10cm,有効内容積 30ml)に注入した。バイオ人工肝臓デバイスは、CO2インキュベーターの中で駆動させた。胚様体を2日間形成させた後にActivin-A(100 ng/ml)とbFGF(100 ng/ml)を培養液に添加することで3日間培養しDefinitive endodermを形成した。肝細胞成長因子HGF(100 ng/ml)と1% DMSO (dinethyl sulfoxide)にて8日間培養し最後に3日間10-7Mデキサメサゾンを添加した。細胞の活性をグルコースの消費量から算出したところ一日で約100 mg/dlと良好な消費が認められた。循環培地中にリドカン(最終濃度が10 μg/dl)を添加してその代謝率を計測したところ付加したリドカインの50%が代謝された。さらに、培地中のアルブミン量と各種凝固因子(フィブリノーゲン、プロトロンビン、アンチトロンビン、プラスミノゲン)量を測定した。培養24時間におけるアルブミン産生量は0.25 g/dl、フィグリノーゲン15 mg/dl、プロトロンビン0.3 mg/dl、アンチトロンビン0.4 mg/dl、プラスミノゲン10 mg/dlであった。細胞を充填していない培養液だけを循環させた非細胞充填バイオ人工肝臓デバイスでは,グルコースの消費やリドカインの代謝は認めず,アルブミンや凝固因子は産生されていなかった。未分化なヒトES細胞を当該バイオ人工肝臓デバイス内で培養し,薬物を代謝し、アルブミンや凝固因子、そして尿素を産生する能力のある肝細胞への分化誘導に成功した。
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