2010 Fiscal Year Annual Research Report
心停止ドナーからの肺移植臨床応用をめざした大動物実験
Project/Area Number |
20390367
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊達 洋至 京都大学, 医学研究科, 教授 (60252962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 薫 京都大学, 医学研究科, 教授 (10267164)
板東 徹 京都大学, 医学研究科, 准教授 (20293954)
庄司 剛 京都大学, 医学研究科, 助教 (80402840)
陳 豊史 京都大学, 医学研究科, 助教 (00452334)
藤永 卓司 京都大学, 医学研究科, 助教 (00444456)
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Keywords | 心停止ドナー / 肺移植 / Ex-vivo evaluation / 温虚血 / 再灌流 |
Research Abstract |
本研究は、京都大学(呼吸器外科および救急医学分野)と岡山大学(呼吸器外科)の共同研究により、心停止ドナーからの肺移植の臨床応用をめざすものである。平成22年度は、体外肺還流(ex-vivo lung perfusion,EVLP)の実験系を用いて、両大学で実験を継続した。 京都大学では、EVLPによって、肺水腫を来したドナー肺を評価および修復することが可能かを検討する実験を行った。平均体重13Kgのビーグル犬からの心肺ブロックを使用し、ET-Kyoto液でフラッシングし、2時間の冷虚血後、Steen液を使ってEVLPを8時間行った。5%糖液100ml/kgを急速輸液した肺水腫群(n=5)とコントロール群(n=5)を比較検討した。肺水腫群では、EVLP開始直後の肺血管抵抗が3800dyne・sec-1・cm-5まで上昇していたが、90分後には、890dyne・sec-1・cm-5まで低下し、コントロール群と有意差がなくなった。EVLPによって、肺水腫を来したドナー肺の修復が可能であることが示された。 一方、岡山大学では、ブタEVLPモデルを使用し、EVLP中に吸着膜を使用して炎症性サイトカイン(TNFαとIL-8)を除去する効果を検討した。その結果、吸着膜により一定期間のサイトカイン除去に成功したが、肺機能には有意な改善が得られなかった。吸着膜を使用したことで、肺機能維持に有用と思われる物質(抗炎症性サイトカインIL-10やアルブミン)まで除去された可能性がある。今回の実験では期待した効果は得られなかったが、サイトカイン以外の因子がグラフト肺の傷害に関与している可能性を示した。
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Research Products
(5 results)