2008 Fiscal Year Annual Research Report
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20390375
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
安元 公正 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 医学部, 教授 (30150452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花桐 武志 産業医科大学, 医学部, 講師 (30299614)
竹之山 光広 産業医科大学, 医学部, 講師 (10309966)
市来 嘉伸 産業医科大学, 医学部, 助教 (80419837)
馬場 哲郎 産業医科大学, 医学部, 助教 (10506348)
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Keywords | 肺癌 / 腫瘍抗原 / 免疫逃避 / 制御性T細胞 / HLA |
Research Abstract |
これまでに肺癌細胞株を樹立し、リンパ球と混合培養することにより自己肺癌特異的CTLを誘導・解析してきた。しかし、全ての症例においてCTLの誘導が可能ではなく、CTL活性化に免疫学的な抑制機構が考えられている。腫瘍細胞のHLA発現異常や制御性Tリンパ球の免疫応答抑制が、腫瘍の逃避機構の重要なメカニズムと考えられる。 腫瘍細胞のHLA発現異常に関しては、β2ミクログロブリン遺伝子異常のためにHLAを発現欠失した肺癌C831Lに、正常なβ2ミクログロブリン遺伝子の移入によりHLAの発現を回復させることができた。さらに、HLA発現を回復させた肺癌細胞株C831Lを用いて、自己リンパ球よりCTLクローンを樹立し、現在cDNA発現クローング法により、腫瘍抗原遺伝子の同定を行っている。 また、2003年から2004年に当科で手術した肺癌患者84例における所属リンパ節リンパ球および末梢血リンパ球のCD4+CD25+Foxp3+細胞(制御性Tリンパ球)の発現を細胞内FACSにて解析したところ、肺癌患者における制御性Tリンパ球は、末梢血リンパ球では2.8%であったのに対し、所属リンパ節リンパ球では4.4%と有意に高い頻度で認め、腫瘍浸潤リンパ球では10.4%とさらに高い頻度で存在していた。 一方、肺扁平上皮癌細胞株L1023Lでは他の肺癌細胞株と比しTGF-βを高く産生し、通常の腫瘍とリンパ球の共培養ではCTLの誘導ができない。しかし、CD4+CD25+regulatory T cell Isolation Kitを用いて、制御性Tリンパ球を除去したところ、腫瘍特異的CTLの誘導が可能となった。 以上のように制御性Tリンパ球は所属リンパ節リンパ球や腫瘍浸潤リンパ球に多く存在し、腫瘍近傍におけるCTL誘導を抑制することで、抗腫瘍免疫の抑制に関与していることが考えられた。腫瘍のHLA発現の回復および制御性Tリンパ球の除去は、CTLの誘導効率を上げることが示され、これらのことは今後の免疫療法の確立にとって、重要な知見と考えられる。
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[Presentation] 腫瘍の免疫逃避機構の解明とその克服2008
Author(s)
花桐武志,重松義紀,黒田耕志,馬場哲郎,市来嘉伸,浦本秀隆,大賀丈史,竹之山光広,杉尾賢二,安元公正
Organizer
第21回日本バイオセラピィ学会学術集会総会
Place of Presentation
東京
Year and Date
20081118-20081119
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[Presentation] 自己肺癌特異的CTL誘導における制御性T細胞の影響2008
Author(s)
重松義紀,塩田広宣,黒田耕志,馬場哲郎,永田好香,水上真紀子,市来嘉伸,安田学,竹之山光広,花桐武志,杉尾賢二,安元公正
Organizer
第12回基盤的癌免疫研究会総会
Place of Presentation
さいたま
Year and Date
20080702-20080703
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[Presentation] 発現回復させたHLA class I分子に提示される新規肺癌抗原の同定2008
Author(s)
馬場哲郎,塩田広宣,黒田耕志,重松義紀,水上真紀子,市来嘉伸,安田学,竹之山光広,花桐武志,杉尾賢二,安元公正
Organizer
第48回日本呼吸器学会学術集会
Place of Presentation
神戸
Year and Date
20080615-20080617
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[Presentation] 肺癌所属リンパ節における制御性Tリンパ球の発現と機能解析2008
Author(s)
重松義紀,塩田広宣,黒田耕志,馬場哲郎,水上真紀子,市来嘉伸,安田学,竹之山光広,花桐武志,杉尾賢二,安元公正
Organizer
第108回日本外科学会定期学術集会
Place of Presentation
長崎
Year and Date
20080515-20080517
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