2008 Fiscal Year Annual Research Report
EGFR経路の遺伝子に変異を有しない肺腺癌の分子病因解析と治療戦略の開発
Project/Area Number |
20390376
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
光冨 徹哉 Aichi Cancer Center Research Institute, 分子腫瘍学部, 研究員 (70209807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷田部 恭 愛知県がんセンター(研究所), 分子腫瘍学部, 研究員 (90280809)
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Keywords | 肺癌 / 分子標的治療 / EGFR経路 / 分子分類 / 肺癌 |
Research Abstract |
肺腺癌の約60%はEGFR経路(EGFR、KRAS、HER2、BRAFなど)に遺伝子異常を有しており、これらの遺伝子異常の研究は、肺発癌過程の探索という基礎分野のみならず、gefitinibなどの分子標的治療薬に対する治療効果予測を可能とした。一方EGFR経路以外の異常として、2007年にEML4-ALK融合遺伝子によるALK活性化(〜5%)が報告された。これらのEGFR経路内外の遺伝子異常は互いに排他的であるが、肺腺癌の約30%にはこのようなOncogenicな遺伝子異常がみつかっていない。 そこで我々は、肺癌細胞株および臨床検体を用いて新たな分子病因の探索をおこなってきた。まず、gefitinib耐性の一つの原因として報告されたMET遺伝子異常を未治療肺腺癌において検討した。しかしながら、MET増幅はまれであった(1/4%).一方、スプライス部位の変異によってユビキチンリガーゼcCBL結合部位をコードするエクソン14を欠失する突然変異は3.3%に認めた。このような肺癌に対してはMETが分子標的として有望である。 次に少数例で肺癌における異常の報告があるPTPN11遺伝子、ROS融合遺伝子を解析した。それぞれ241例、92例を解析したが、遺伝子変異は同定できなかった。 より網羅的なアプローチとして、14肺癌細胞株について42種類のレセプター型チロシンキナーゼ(RTK)アレイを用いて解析し、リン酸化によって活性化しているRTKを探索した。HER family以外では、gefitinib耐性機序との関連が報告されているMETおよびIGF-IRを含め、FGFR3、c-RETの活性化を認めた。これらのRTK活性化の分子機構については、今後検討予定である。
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Research Products
(8 results)