2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内小領域標的ナノヴィークルの開発とがん治療への応用
Project/Area Number |
20390381
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水野 正明 名古屋大学, 医学部附属病院, 准教授 (70283439)
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Keywords | 細胞 / ナノテクノロジー / 細胞内小器官 / がん / siRNA |
Research Abstract |
バイオテクノロジーの進歩により、核酸やタンパク等をはじめとするバイオマテリアルを細胞内に導入するテクノロジーは数多く開発されてきている。その上で当該分野において要求される次世代テクノロジーは、さらに精度の高い導入テクノロジー、すなわち細胞内小器官に特異的にバイオマテリアルを導入するテクノロジーである。このテクノロジーは、今後、遺伝子医療、分子医療、再生医療、細胞医療、ゲノム創薬、ゲノム創食といった先端医療分野には必須となる。これまでも我々は当該分野に関連する研究を進めてきており、DEAEポリマーテクノロジー並びにリポソームテクノロジーにおいては独自技術を開発してきた。 本研究では、これらのDEAEポリマーテクノロジーとリポソームテクノロジーを活用し、細胞内小器官を標的としたナノヴィークル(ナノメートルサイズのバイオマテリアルキャリア)の開発を目指した。そしてミトコンドリア、分裂期染色体、収縮環等の細胞内小領域への標的化が可能であることを実証した。さらに開発したナノヴィークルにsiRNAを結合させ、dry並びにwet環境下で生物学的活性の誘導を確認した。また、この試験物を臨床試験に活用できるようGLP及びGMP下での製造方法を確立し、がん治療への応用に一歩近づけた。この成果を受け、今後もがん治療のための新しい2つのナノヴィークルの活用を続けていきたいと考えている。特にsiRNAを用いた新規医薬品開発は、健康長寿立国を目指すわが国においては次世代医薬品開発(先端医療)の中核事業に位置づけられており、世界最速で超高齢社会を迎えたわが国においては、最重要課題のひとつとなっている。さらに当該開発は、欧州を中心に次世代医薬品としての注目度が高く、国際競争力をつけることがわが国の国力の維持にもつながると考えている。
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