2008 Fiscal Year Annual Research Report
進行性前立腺癌に対する分子マーカーの同定と癌進展の分子機構の解明
Project/Area Number |
20390420
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
市川 智彦 Chiba University, 大学院・医学研究院, 教授 (20241953)
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Keywords | 前立腺癌 / 染色体異常 / CGH解析 / Apolipoprotein C-I / 転移抑制遺伝子 |
Research Abstract |
1.前立腺癌手術標本内に2ヶ所以上の癌病巣を認めた22症例について、各病巣の染色体異常を染色体CGH法により解析した。6q14-21、13q14-21、8p21-22の欠失、8q21.3-24.3、7q21-33の増幅が高頻度にみられたが、同一症例に発生した2ヶ所の癌病巣の比較では、染色体異常の類似性は全くみられなかった。これにより前立腺癌はそれぞれ独立して染色体異常が蓄積し多病巣性に発生していくことが明らかとなり、論文として報告した。さらにアレイCGHを行い、染色体CGH法では検出できなかった微小な欠失や増幅を検出し、これらの結論をさらに裏付けることができた。 2.内分泌療法抵抗性患者の血清についてSELDI-TOF MSシステムを用いて解析し、病状の進行とともに変化するピークがApolipopr。tein C-1であることを明らかとした。 3. 抗癌剤耐性前立腺癌細胞の遺伝子プロファイルを解析し、他の癌種の耐性株とは異なっていることが判明した。前立腺癌細胞の遺伝子プロファイルを正常前立腺や前立腺肥大症と比較し、特異的に発現が増強あるいは減弱しているいくつかの遺伝子を同定した 4. ヒト8p21-12上の転移掬制候補遺伝子の発現ベクターを導入したラット前立腺癌細胞株では、宿主の染色体にも数的異常や構造異常があらたに生じており、転移掬制のメカニズムの解明については、さらに解析が必要であると結論した。 5.以上の成果は、癌の進展や新規治療法の鍵となるマーカーを同定していく上で重要な基礎データであり意義のあるものである。さらに、臨床的知見との関連性を探索するために、前立腺癌診断nomogram の作成、神経内分泌分化と前立腺癌の進展、抗アンドロゲン薬交代療法の意義などについても解析し論文として報告した。
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