2008 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌再燃の分子機序解明とその治療戦略構築のための基礎的研究
Project/Area Number |
20390421
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
並木 幹夫 Kanazawa University, 医学系, 教授 (70155985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝上 敦 金沢大学, 附属病院, 講師 (50248580)
京 哲 金沢大学, 医学系, 講師 (50272969)
東 達也 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (90272963)
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Keywords | 再燃前立腺癌 / DHEA / 間質細胞 / トラニラスト / TGFβ |
Research Abstract |
ホルモン療法後には血清中testosteroneの濃度は5-10%にまで低下するにもかかわらず、前立腺癌組織中ではDHTは20-40%も残存している。この残存アンドロゲンが前立腺癌細胞を刺激する可能性がある。前立腺癌組織中でホルモン療法後にもこれらのアンドロゲンが血清中の濃度以上に残存している理由として、前立腺癌組織に存在する間質細胞に注目した。前立腺癌細胞と癌由来間質細胞とを共培養することにより、DHEAからtestosteroneへと協調的に効率よくアンドロゲンの生合成を促進させることを突き止めた。さらに、再燃前立腺癌に対する治療を目的に、トラニラストを用いた基礎研究を行った。トラニラストは濃度依存性にアンドロゲン非依存性の前立腺癌細胞株の増殖を抑制し、細胞周期の主にG1期停止と、アポトーシスを誘導した。また、これらに関連していると考えられるp53、p21、p27、Fasやcleaved PARPの蛋白レベルも増加させた。前立腺癌は骨にしばしば転移することから、骨との関係を調べた。骨間質細胞と共培養させると、LNCaP-SFの増殖は著明に促進された。TGF-β1を投与された骨間質細胞は、濃度依存的に細胞の形態が変化するとともにosteopontinの発現が亢進し、分化誘導されていることが示唆された。これらの変化は抗TGF-β抗体を投与することにより認められなくなった。TGF-β1を投与された骨間質細胞にトラニラストを加えると、抗TGF-β抗体を加えたときと同様に、分化誘導が認められなくなった。ELISAではトラニラストを投与することにより、SaOS-2や骨間質細胞からのTGF-β1の産生抑制が認められた。In vivoではTRN投与により有意にSCIDマウスの皮下腫瘍の増殖が抑制され、脛骨での造骨性変化も阻害された。
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