2010 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類精巣が軽度低温環境を必要とする分子的基盤とその臨床的意義
Project/Area Number |
20390424
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 潤 京都大学, 医学研究科, 教授 (50173430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 博之 京都大学, 医学研究科, 准教授 (20324642)
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Keywords | 遺伝子 / 環境 / 細胞・組織 / ストレス / 低温 / 不妊 |
Research Abstract |
一般に低温では細胞増殖・遺伝子発現ともに低下するのが普通であるのに、精子形成細胞は軽度低温下のほうがよく増殖・分化できる。この理由は不明である。我々はこれまで、哺乳類細胞には32度前後の軽度低温により特異的に発現誘導される低温ショック蛋白質群が存在し、細胞のストレス抵抗性を高めることを示した。32度でcirp遺伝子の転写を促進する応答エレメントMCREを発見し、結合する転写因子を同定した。本研究ではこれらの制御機構、ストレス抵抗性との関連、制御を受ける遺伝子群の検索、臨床的意義の検討を試みた。 1.cirp遺伝子発現に関与する軽度低温応答転写因子活性の制御機構:MCREにin vitroで結合する蛋白質が、軽度低温で細胞質から核へ移行し、cirp遺伝子発現制御領域染色体上で転写因子とともに複合体を作り、転写を促進させることを示した。 2.この転写補助因子が軽度低温でキナーゼによりリン酸化され、このキナーゼ自身も別のキナーゼによりリン酸化を受けるというシグナル伝達経路を見いだした。DNA損傷に際してもこの補助因子は活性化され、cirpの発現亢進及び損傷修復に働いた。 3.軽度低温で発現誘導を起こすエンハンサーから、MCRE以外の軽度低温応答エレメントの同定を試みた。これは37度でも32度でも転写を促進する配列に、32度より37度で発現抑制活性が強い配列が組み合わされたエンハンサーであった。 4.cirp遺伝子と不妊症の関連:cirp遺伝子ノックアウトマウスで未分化spermatogonia数が減少しているのは、CirpがキナーゼDyrk1bに結合し細胞増殖を促進する活性を持つためであった。 5.我々の作成したApg-1ノックアウトマウスが、100%雄性不妊であることを見いだした。
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Research Products
(1 results)