2010 Fiscal Year Annual Research Report
不死化関連遺伝子群によるOncogenic Ras制御と前立腺癌化抑制機構の解明
Project/Area Number |
20390426
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
公文 裕巳 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30144760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
許 南浩 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70142023)
阪口 政清 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (70379840)
那須 保友 岡山大学, 岡山大学病院, 教授 (20237572)
筒井 研 岡山大学, 自然生命科学研究センター, 教授 (70108158)
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Keywords | 不死化関連遺伝子 / Ras / Ras-GTP / Bip/GRP78 / 前立腺分化 |
Research Abstract |
昨年度の研究に引き続き、前立腺正常上皮細胞および癌細胞等において、不死化関連遺伝子REIC発現に伴う癌化抑制(Ras関連分子を中心に)・細胞死誘導のシグナリングの解析を行った。まず、前立腺正常上皮細胞において、不死化関連遺伝子REIC発現を特異的siRNAによりノックダウンすることにより、活性型のRasがアップレギュレーションされることを確認した。この状態で、Ras-V12遺伝子をトランスフェクションさせOncogenic Rasを細胞内に蓄積させた癌化誘導状態においては、Rasシグナリングの根幹であるAktタンパク質の活性化が認められた。興味深いことに、活性化Rasの作用を負に制御するp21-WAFおよびp16-INK4Aタンパク質の発現については変化が無かったことより、癌化誘導状態においてはREICタンパク質が、Aktタンパク質の活性化を抑制することにより癌化を防ぐ役割を果たしていると考えられた。さらに今回の研究により、REIC遺伝子の強発現による細胞死誘導シグナリングの新しい制御機構の一端が明らかとなった。これまでに、REIC遺伝子の強発現に基づく強力な治療効果の達成を目的とするAd-REIC剤の使用により、前立腺癌等の担癌マウスモデル実験において強力な腫瘍縮小効果が得られることを報告してきた。しかしながら、多くの癌種、癌細胞種がAd-REICに感受性を示す一方で、Ad-REICに耐性を示す癌細胞が存在することが明らかとなっており、その癌細胞死誘導における耐性メカニズムは明らかでなかった。本年度の研究において、その薬剤耐性は主に癌細胞内での分子シャペロンタンパク質であるBip/GRP78の発現レベルに依存しており、REICの強制発現による細胞死の分子シグナル伝達はBip/GRP78タンパク質により負に制御されていることを実験的に証明した。
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Research Products
(4 results)