2008 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロRNA発現制御による尿路上皮癌の新規治療の開発
Project/Area Number |
20390427
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中川 昌之 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90164144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎田 英樹 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (80347103)
関 直彦 千葉大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (50345013)
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Keywords | マイクロRNA / 尿路上皮癌 / 膀胱癌 / がん抑制遺伝子 |
Research Abstract |
マイクロRNA(miRNA)はこれまで1本鎖の非機能性RNAと考えられていたが、近年複数の遺伝子発現を負に制御していることが明らかになってきた。われわれは膀胱癌でがん抑制的に働いているmiRNAを検索するために、156種類のmiRNAパネルの中から膀胱癌で特異的に発現低下しているmiRNAを検索した。その結果、正常膀胱上皮に発現せず、膀胱癌で発現の強い7種類のmiRNA(miR-145,miR-30a-3p,miR-133a,miR-133b,miR-195,miR-125b,miR-199a)が同定された。次に臨床検体(104例の膀胱癌と31例の正常膀胱上皮)を用いてreal-time RT-PCR法にてこれらの7種類のmiRNAの発現を検討した。その結果、7種類すべてのmiRNAの発現レベルは膀胱癌において正常組織に比較して有意に発現低下がみられた。ROC解析ではこれら7種類のmiRNAの発現を調べることで、いずれの場合も70%以上の感度と75%以上の特異度を持って正常組織と膀胱癌を区別できることがわかった。次にこれらのmiRNAの塩基配列からこれらのmiRNAと結合領域を有する標的遺伝子を推測したところ、これらに共通する標的遺伝子としてkeratin7(KRT7)が考えられた。さらにKRT7発現と7種類のmiRNA発現は負の相関がみられた。そこで、われわれはmiRNAを膀胱癌株KK47にトランスフェクトしたところ3種類のmiRNA(miR-30a-3p,miR-133a,miR-199a)でKRT7の発現が有意に低下していることが明らかとなった。さらにKRT7のsiRNAをKK47膀胱癌細胞に移入したところ、膀胱癌細胞の増殖が抑制された。これらのことから、膀胱癌ではこれら3種類のmiRNAはKRT7の転写を抑制することでがん抑制因子として機能していると考えられた。
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