2009 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロRNA発現制御による尿路上皮癌の新規治療の開発
Project/Area Number |
20390427
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中川 昌之 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90164144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎田 英樹 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (80347103)
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Keywords | microRNA / 膀胱癌 / FSCN1 / 診断マーカー |
Research Abstract |
【目的】microRNA(miRNA)の発現解析による膀胱癌の進展に関与している遺伝子を同定し、さらに新たな膀胱癌の診断マーカーの開発を行う。【対象と方法】まず膀胱癌の進展に関与する遺伝子を同定するため膀胱癌で有意に発現変動しているmiRNAのプロファイルを構築した。次に膀胱癌で有意に発現低下しているmiRNAを膀胱癌細胞に導入して、発現が低下する標的遺伝子FSCN1を同定した。さらにこの標的遺伝子FSCN1の膀胱組織での発現解析や機能を検討した。次に膀胱癌患者(n=85)、健常者(n=49)および尿路感染患者(n=15)の尿でstem-loop PCR法にて膀胱癌で有意に上昇しているmiR-96およびmiR-183の定量を行った。【結果】膀胱癌ではmiRNA-145が発現低下しており、Luciferase assayからその標的遺伝子の一つがFSCN1であることがわかった。FSCN1は膀胱癌細胞の遊走能や浸潤能を亢進させることが観察された。また膀胱癌患者の尿においてmiR-96、miR-183の発現は健常者や尿路感染患者に比べて有意に高く(p<0.0001)、ROC曲線分析ではmiR-96、miR-183の感度は各64.7%、77.7%、特異度は各92.3%、75.0%で癌患者と非癌患者の識別が可能であった。またmiR-96,miR-183の発現は浸潤癌(≧pT1)では非浸潤癌(pTa)と比べて有意に高く(p=0.011,p=0.0072)、Gradeが上昇するにつれて有意に上昇した(p=0.012,P=0.0185)。従来の尿細胞診と併用すると感度75%、特異度92%で膀胱癌の診断が可能であった。 【結論】膀胱癌ではmiRNA-145の発現低下が起こり、FSCN1の発現を抑制できないことが癌進展に関与することが示唆された。尿中miR-96とmiR-183は膀胱癌の有効な腫瘍マーカーとなり得ることが示唆された。
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