2009 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオーム解析技術を用いた虚血性内耳障害の病態解明・診断法開発
Project/Area Number |
20390442
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
暁 清文 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00108383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秦 龍二 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90258153)
羽藤 直人 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (60284410)
白馬 伸洋 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (70304623)
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Keywords | 突発性難聴 / 一過性内耳虚血 / スナネズミ / 遺伝子発現 / 虚血関連蛋白質 / 虚血耐性 / 先行虚血 / 致死的虚血 |
Research Abstract |
突発性難聴の原因の一つである一過性内耳虚血の病態解明とその診断・治療法の開発をめざし、当科で開発した一過性内耳虚血の動物モデル(スナネズミ)を用いて、1)虚血負荷により発現する遺伝子やタンパク質の探求、2)長らく謎とされてきた内耳における虚血耐性のメカニズム、について検討を行った。その結果、1)虚血後に内耳組織のプロテオーム解析を行ったところ、コントロールと比べ5倍以上変化した遺伝子の数は、2分間虚血で454gene、15分間虚血で453geneであり、共通して増加していたのは155geneであった。一方、1/5以下に減少した遺伝子の数は2分間虚血で342gene、15分間虚血で361geneであり、88geneが共通して減少していた。これら遺伝子の機能解析を行ったところ、2分間虚血ではG protein-couples receptor(GPCRs)Class A Rhodopsin-likeが、また15分間虚血ではGPCRs Class A Rhodopsin-likeとPeptide GPCRsをコードする遺伝子の発現が顕著であった。以上の結果から、これらの遺伝子が突発性難聴例で検出できれば内耳虚血説が実証されることになり、突発性難聴の原因究明の大きな手掛かりを得た。2)虚血耐性とは先行して軽渡虚血を負荷しておくと、その後に致死的虚血を加えても障害は軽減される現象をいう。突発性難聴の再発が稀な理由の一つと考えられる。これを動物モデルで検証したところ、15分間虚血によるABR閾値上昇は23.4±8.9dB(n=16)であるのに対し、2日前に2分間虚血を追加した場合の閾値上昇は12.9±9.4dB(n=12)であり、軽度虚血の先行負荷により内耳障害は有意に軽減された。このことは一過性内耳虚血が突発性難聴の原因として矛盾しないことを意味する。
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Research Products
(4 results)