2008 Fiscal Year Annual Research Report
濾過胞治癒の薬物制御を応用した新しい緑内障手術療法に関する研究
Project/Area Number |
20390449
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
谷原 秀信 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (60217148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲谷 大 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (40335245)
川路 隆博 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (30423677)
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Keywords | 眼薬理学 / 創傷治癒 |
Research Abstract |
線維柱帯切除術(濾過手術)の不成功は、主に創傷治癒機転による濾過経路の閉鎖による。我々は、本研究計画で、濾過胞に対する創傷治癒機転を術後薬物療法で制御することによって、「理想的な濾過胞を意図的に形成する」ことを目的に研究をおこなった。ラットの前房にカニューレを挿入し、濾過手術をおこない、ラット濾過胞モデルを作成した。このラットに、線維芽細胞増殖因子やtransforming growth factor (TGF) beta、vascular endothelial growth facor (VEGF)に親和性を有するヘパリンを結膜下に注射することにより、生理食塩水を注射したコントロールと比較して、濾過胞形成が促進することに成功した。さらに、その細胞分子メカニズムを探究するために、細胞内の分子であるSMADの活性を評価したところ、SMADのリン酸化が著しく抑制されていた。この結果は、濾過胞の瘢痕創傷治癒に重要なTGF betaシグナルがヘパリンの投与により、調節されることを示唆する結果である。さらに、我々は、濾過手術が効きにくい緑内障病型である血管新生緑内障の濾過手術の危険因子を解析した。若年者、硝子体手術の既往、糖尿病による両眼性の血管新生緑内障が予後を著しく悪化させる因子であることがわかり、患者背景因子が濾過手術の予後を決定していることがあきらかとなった。また、予後不良な血管新生緑内障の濾過手術の濾過胞維持と眼圧維持を目的に、抗VEGF抗体ベバシズマブの術前投与をおこなった。術中の合併症の軽減と術早期の眼圧維持、濾過胞の血管侵入抑制に効果があることがわかった。
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Research Products
(4 results)