2010 Fiscal Year Annual Research Report
濾過胞治癒の薬物制御を応用した新しい緑内障手術療法に関する研究
Project/Area Number |
20390449
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
谷原 秀信 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (60217148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲谷 大 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (40335245)
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Keywords | 眼薬理学 / 創傷治癒 |
Research Abstract |
トラベクレクトミーによって作成される濾過胞が形成されないで眼圧上昇を再発しやすくなる患者背景の臨床解析をおこなった。第1に、原発開放隅角緑内障や落屑緑内障患者を対象に、過去に超音波白内障手術を受けた患者と、過去に受けていない患者のトラベクレクトミー術後成績を比較した。超音波白内障手術を受けた症例の方が統計学的有意に手術成績不良であることがしめされた(Arch Ophthalmol 2011)。その他の因子として、術前の高眼圧、若年者がトラベクレクトミー予後不良であることが算出された。第2に、ぶどう膜炎を対象としたトラベクレクトミーの手術予後不良因子の解析においても、過去の白内障手術の既往が有意な手術予後悪化因子であることがしめされた。第3に、超音波白内障手術の既往のある症例と既往の無い症例との比較前向き臨床試験をおこない、昨年末エントリーを終了し、現在術後経過観察中であるが、すでに、統計学的有意に超音波白内障手術を受けた症例の方が術後成績不良である結果が確認されている。これらの患者の前房水のタンパク組成をmultiplex immunoassayで解析したところ、MCP-1とIL-8のタンパク濃度が超音波白内障手術を受けたことのある患者において、有意に上昇していることがあきらかとなり、これらの炎症性サイトカインが、トラベクレクトミーの濾過胞の形成を阻害している因子である可能性が考えられた。そこで、ウサギの眼内にこれらの分子を注射したところ、線維柱帯組織に炎症細胞の蓄積がみられ、眼内炎症を惹起することがしめされた。
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