2008 Fiscal Year Annual Research Report
分子機構から見た直腸肛門奇形rescue programの確立
Project/Area Number |
20390453
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
岩井 直躬 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 教授 (90128695)
|
Keywords | 発生・分化 / シグナル伝達 / 発現制御 |
Research Abstract |
申請者らは直腸肛門奇形の発生メカニズムを解明するため、従来から催奇形物質としてレチノイン酸(RA)を用いて95%以上の高率で直腸肛門奇形モデルを作成し、形態形成の要因となる細胞の局所的増殖及び細胞死について検討を行ってきたが、今後特に直腸肛門領域の発生過程における詳細を新たな発生生物学的な手法を用いて明らかにする必要性があると考えるに至った。すなわち、正常マウスの消化管パターン形成や、RA投与で作成した直腸肛門奇形マウスの後腸分化のうえで重要な転写因子発現の誘導を阻害する過程に対し、転写制御の分子機構からみた直腸肛門奇形のrescue programを確立し、そのメカニズムについて分子レベルの面から解明することを目的とした。 (1)Retinoic acid単独投与マウスコロニーの確立 従来から行ってきた方法で直腸肛門奇形マウスを作成した。生後6週目のICRマウスの雌雄を2時間交配させ、vaginal plugが確認できたマウスはmatingしたと判断し、この時間を妊娠0日と定めた。直腸肛門奇形を誘導するため、100mg/kgのall-trans retinoic acid(RA)をsesame oilを溶媒として妊娠9日目のマウスに腹腔内投与した。妊娠14日目から16日目に妊娠マウスを犠牲死させ、実体顕微鏡下にそれぞれの子宮より胎仔を摘出し直腸肛門奇形の有無を確認した。全例において、無尾ならびに直腸肛門奇形を認めた。 (2)LE135及びRetinoic acid投与マウス胎仔における消化管奇形発生の有無についての検討 (1)妊娠9日目にまずRA receptorのantagonistであるLE135 200mg/kgを投与した。さらに100mg/kgのRAを妊娠9日目に投与した。妊娠14日目から16日目に妊娠マウスを犠牲死させ、すぐにマウスの下腹部を切開した。数珠状に連なった子宮を切除し、実体顕微鏡下にそれぞれの子宮を剥離して胎仔を摘出した。摘出した胎仔は直ちに犠牲死させ、各々の日令の胎仔標本において直腸肛門奇形の有無や尾の形態異常の有無につき観察した。40%の胎仔で正常の直腸肛門を有していた。 今後さらに検討を加え、直腸肛門奇形発生の予防に至適なLE135の投与量及び投与日を決定する。
|