2008 Fiscal Year Annual Research Report
脱細胞化神経をバイオスキャフォールドとする新しいハイブリッド型人工神経の開発
Project/Area Number |
20390456
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
寺師 浩人 Kobe University, 医学部附属病院, 准教授 (80217421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田原 真也 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (60207206)
寺島 俊雄 神戸大学, 医学研究科, 教授 (20101892)
藤里 俊哉 大阪工業大学, 工学研究科, 教授 (60270732)
橋川 和信 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (90403237)
榊原 俊介 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (50444592)
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Keywords | 人工神経 / 再生医学 / 再生医療 / 末梢神経再建 / 再建外科 |
Research Abstract |
外傷や腫瘍切除で損傷された神経の再建には自家神経が多用されるが採取される神経の機能喪失は裂避けられない。また、理想的な口径と長さの神経を採取することは困難であることが多い。これらの諸問題を克服するために人工神経の開発が行われてきた。細胞外マトリクスが組織再生に重要な役割を果たすと考えられており、これらを模した化学合成物を用いた人工神経の開発が試みられている。一方、同種神経を化学処理して無細胞化したものを代替神経とする試みもなされている。われわれは、ラットの坐骨神経を界面活性剤を用いない方法で脱細胞化処理することに成功(特許出願中)し、その移植後の評価を行った。 得られた脱細胞化神経のHE染色では処理後の神経束内に核を認めず、脱細胞化されていることが確認できた。ラット坐骨神経に1cmの欠損を作り、その部位に脱細胞化神経を移植した。移植後2ヶ月の段階で移植神経を採取し、HE染色を行ったところ、正常神経と同様の組織所見を得た。これら標本を抗neurofilament抗体および抗S-100抗体を用いて免疫染色を行ったところ、両抗体において染色像が確認された。さらに移植より2ヶ月の後、移植部より中枢側に蛍光神経トレーサーを微量、注入し1週間の生存期間の後に採取したところ、移植されたgraft内を蛍光標識された再生した神経線維が走行する様子が観察された。 凍結融解法や界面活性剤処理法による脱細胞化神経の有用性がこれまでに報告されているが、不十分な脱細胞化や細胞外マトリクスの破壊といった欠点を持つ。われわれが作製した脱細胞化神経は、界面活性剤を用いないために軸索伸展に必須となる基底膜などの構造が比較的保存されていることが想定され、移植実験の結果からも有用なバイオマテリアルとなる可能性がある。
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