2008 Fiscal Year Annual Research Report
急性肺損傷の細胞内シグナルパスウェー/遺伝子ネットワーク解析と治療に向けた研究
Project/Area Number |
20390459
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
倉橋 清泰 Yokohama City University, 医学部, 准教授 (50234539)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢澤 卓也 横浜市立大学, 医学研究科, 准教授 (50251054)
平井 豊博 京都大学, 医学研究科, 助教 (20359805)
馬場 靖子 横浜市立大学, 医学部, 助教 (80453041)
|
Keywords | FasL / エンドトキシン / 肺障害 / アポトーシス / サイトカイン / トール様受容体 |
Research Abstract |
A.FasL、LPSの作用(in vitro) 予備実験の結果、Fasのリガンドとしてはanti-mouse CD95 clone Jo2(554254, BD Biosciences)よりも、recombinant humanFasL(SuperFasL, Enzo)が適していることが確認された。 肺上皮細胞のcell line、LA-4、MLE12、およびMLE15についてflow cytometryで細胞表面のTLR4/MD2複合体の定常状態での発現をみたところ、MLE15のみがそれを発現していることが確認された。また、それに対応してLPSに対する感受性もMLE15が最も高いことが確認されたため、本研究ではMLE15を用いることとした。 MLE15のモノレイヤーにSuperFasLおよびLPS(E. coli0111:B4, List Biological Laboratories)を暴露させた。はじめにそれぞれのdoseや暴露時間を変化させて、最も適した条件設定を行った。その結果、暴露時間は早期(4時間)と晩期(16時間)で検討することした。またそれぞれの薬剤の濃度は、FasLが500ng/ml〜0ng/ml、LPSは40pg/ml-0pg/mlの間で4〜5点設定し、各々の濃度を組み合わせたマトリックスで検討した。細胞培養液中のサイトカイン(TNF-α、IL-6、MIP-2、KC)をELISAで定量した。また、細胞内のカスパーゼ活陸は、細胞培養液除去後の細胞をタンパク分解酵素阻害剤含有の溶解液で抽出した検体で測定した。 【結果】 LPS単独によりMLE15からのIL-6、MIP-2、およびKC産生が増加した。FasLもその作用はLPSよりも弱いながら認められた。LPSとFasLをMLE15に同時に作用させると、サイトカイン産生が相乗的に増加した。 一方、アポトーシス誘導の細胞内経路にあるカスパーゼ3/7活性は、FasLにより増加したが、LPSにはその作用がなかった。さらに、FasLとLPSを同時に作用させると、LPSはFasLにより増加するカスパーゼ3/7活1生を抑制する作用があることがわかった。 【考察】 これらの事実から、上皮細胞内には、LPSとFasLの受容体(TLR-4およびFas)とその下流において、細胞の生死に関わる重要なシグナル伝達の過程で何らかの相互作用が認められることが確認された。来年度以降、細胞内伝達物質の動向を詳細に検討し、このメカニズムの解明にあたる。
|