2010 Fiscal Year Annual Research Report
急性肺損傷の細胞内シグナルパスウェー/遺伝子ネットワーク解析と治療に向けた研究
Project/Area Number |
20390459
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
倉橋 清泰 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (50234539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢澤 卓也 横浜市立大学, 医学研究科, 准教授 (50251054)
平井 豊博 京都大学, 医学研究科, 助教 (20359805)
馬場 靖子 横浜市立大学, 市民総合医療センター, 助教 (80453041)
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Keywords | FasL / エンドトキシン / 肺障害 / 炎症 / サイトカイン / KGF / 肺線維症 / TGF-beta |
Research Abstract |
マウスの培養肺上皮細胞:MLE15のモノレイヤーにFasLおよびLPSを暴露させたところ、LPS単独によりMLE15からのIL-6、MIP-2、およびKC産生が増加した。FasLもその作用はLPSよりも弱いながら認められた。LPSとFasLをMLE15に同時に作用させると、サイトカイン産生が相乗的に増加した。一方、アポトーシス誘導の細胞内経路にあるカスパーゼ3/7活性は、FasLにより増加したが、LPSにはその作用がなかった。さらに、FasLとLPSを同時に作用させると、LPSはFasLにより増加するカスパーゼ3/7活性を抑制する作用があることがわかった。これらのことから、TLR4とFasとの細胞内シグナルパスウェーに何らかの関連があることが示唆された。 ARDSの極期として肺線維化が起こる。ARDSの急性期を乗り切った後にも、肺線維化によりmorbidityやmortalityが高い。肺線維化の機序とその責任分子の究明が、ARDSの治療の鍵になると考えこの機序と治療法について検討した。マウスにブレオマイシンを投与し、急性炎症に続く肺線維症を作成した。介入群として肺に線維化が起こった時期(ブレオマイシン投与8日目)に気道上皮細胞増殖因子の一つであるkeratinocyte growth factor (KGF)の遺伝子導入をすると肺の線維化や肺酸素化能の低下、死亡率を低下することが証明された(Am J Respir Cell Mol Biol.2011,in press)。また、肺線維化の過程でtransforming growth factor (TGF)-betaが肺内で増加すること、KGFの発現によりTGF-betaが減少することから、この分子が肺線維化に重要な役割を演じていることが示唆された。以上より、気道上皮細胞増殖因子による肺保護作用の可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)