2010 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺由来BDNFのストレス性病変抑制メカニズムについての研究
Project/Area Number |
20390467
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
槻木 恵一 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (00298233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 一郎 鶴見大学, 歯学部, 教授 (60147634)
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Keywords | 唾液腺 / BDNF / Tgマウス / ストレス性病変 / 血漿BDNF |
Research Abstract |
成果:本申請では唾液腺に脳由来神経栄養因子Brain derived-neurotrophic factor(以下BDNF)を高発現するトランスジェニック(Tg)マウスの作製を行った。Tgマウスのプロモーターとしては耳下腺特異的蛋白PSPのプロモーターを用い、さらにHAタグを結合させたコンストラクトを作製した(鶴見大学斎藤一郎教授との共同研究)。このTgマウスの特徴は、唾液腺で産生されたBDNFにHAタグが付加された蛋白として合成されることから、内因性のBDNFと区別ができ唾液腺産生BDNFの生体内での挙動を証明できる画期的なTgマウスである。このTgマウスは、形態的に奇形は認められなかった。導入遺伝子発現組織はPCRによる検索で耳下腺に強く発現が認められた。一方、ウェスタンブロットでは、肝臓・腎臓・脳・脾臓・唾液腺・血漿に特異的なシグナルが認められた。一方、コントロールマウスでは血中BDNFは検出限界以下であり、Tgマウスでは血中BDNF濃度が上昇するので、唾液腺BDNFは、耳下腺で主に産生され、血中に移行後、肝臓・腎臓・脳・脾臓に移行することが証明できた。これは唾液腺産生物質が全身へ移行するという世界で初めての成果である。さらに、本作出Tgマウスはストレス負荷に対して強く、胃粘膜病変の抑制や肝障害の部分的抑制をする傾向が認められた。このメカニズムについて検討を行い、ストレスホルモンの分泌調節が関与していることが証明されつつある。さらに、水迷路試験により学習記憶脳に差があるかどうか検討中である。また、本マウスは加齢的に体重が増加する傾向が認められている。BDNFは脂質代謝や摂食調節に関与していることから興味あるフェノタイプが観察されている。
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Research Products
(6 results)