2009 Fiscal Year Annual Research Report
リン脂質リポソームによる食細胞機能制御に基づく新しい骨吸収制御法の開発
Project/Area Number |
20390472
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中西 博 Kyushu University, 大学院・歯学研究院, 教授 (20155774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武 洲 九州大学, 大学院・歯学研究院, 准教授 (10420598)
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Keywords | リポソーム / 炎症性骨吸収 / 骨芽細胞 / アルカリフォスファターゼ / ホスファチジルセリン |
Research Abstract |
平成21年度は根尖性歯周炎モデルにおける骨吸収ならびに骨形成に対するホスファチジルセリンリポソーム(PSL)の効果を検討した。ラットの下顎第一臼歯遠心根を抜髄、開放することにより、自然感染による根尖病変の成立を図ることにより根尖性歯周炎モデルの作製を行った。術後7日目に、根管内にPSL(100μM)または対照群としてホスファチジルコリンリポソーム(PCL、100μM)を貼薬した。その後、3日および7日目に、ラットの下顎骨を摘出し、免疫組織化学的ならびに組織化学的手法により炎症性マクロファージの指標となるED-1ならびにIL-1β、骨吸収(成熟骨破細胞)の指標となるTRAPならびにRANKL、骨形成(成熟骨芽細胞)の指標となるALPならびにBMP-2の染色を行った。その結果、PSL投与群は生食ならびにPCL投与群に比較して骨吸収の指標となるTRAPならびにRANKL陽性細胞数の減少、炎症性マクロファージの指標となるED-1ならびにIL-1β細胞数の減少、ならびに骨形成(成熟骨芽細胞)の指標となるALPならびにBMP-2の発現増大が認められた。これらの結果より、PSLは炎症性骨吸収を抑制すると同時に骨形成を促進することで根尖性歯周組織の治癒に関与することが示唆された。そこで、PSLが直接的に骨芽細胞前駆細胞の分化・成熟を促進する可能性について解析を行う目的でラット胎仔頭蓋冠由来細胞による骨芽細胞初代培養系の確立を行った。具体的には、ラットの胎仔頭蓋冠の小骨片を37℃で0.1%コラゲナーゼと0.05%トリプシンを含むPBSを使い酵素処理し、遊離してきた細胞を10%FBSを含むαEM中で3日間培養を行うことにより骨芽細胞を安定的に得る事に成功した。今後、この培養系を用いて骨芽細胞分化・増殖へのPSLの影響を解析する予定である。
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