2011 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌における小胞体ストレスシグナルの役割解明と新規治療標的の探索
Project/Area Number |
20390477
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西頭 英起 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特任研究員 (00332627)
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Keywords | 蛋白質 / ストレス / 細胞・組織 |
Research Abstract |
本研究が対象とする癌細胞においては、小胞体ストレス誘導性アポトーシスが抑制され、逆にUPRを介した生存・増殖シグナルが増強されていることが予想される。これまでの研究により、小胞体ストレス誘導性アポトーシスシグナルの実行因子としてASK1を同定し詳細な機能明らかにしてきた。すなわち、ASK1はJNK/p38経路を特異的に活性化するストレス応答性MAPキナーゼの一つであり、その抑制因子としてTrx、PP5、活性化因子としてDaxx、TRAF2などを同定してきた。近年、小胞体ストレスは様々なコンフォメーショナル病との関与が明らかになっている。一方、癌疾患との関係については、癌特異的な小胞体ストレスシグナルは存在するのか、存在するとすれば何故正常細胞が癌化によりそのような特性を獲得したのか、果たして小胞体ストレスシグナルを標的とした癌治療は可能なのかなど、まだまだ解明すべき点は多く残されている。特に口腔癌領域において、小胞体ストレスとの関係を示す報告はほとんど無い。そこで昨年度までの研究で、「口腔癌と小胞体ストレスは関係があるのか?」という点に絞って、小胞体ストレス応答(UPR)依存的な増殖シグナルと小胞体ストレス誘導性アポトーシスの両極面からのアプローチとして、以下の検討を行った。H23年度は、「癌細胞における小胞体ストレスマーカーの検討」「マウス癌組織における小胞体ストレスマーカーの検討」についてin vivoで評価するため、各種癌細胞群をヌードマウス皮下に移植して形成される癌組織と正常組織を比較して、各種抗体を用いて病理組織学的検討を行い、口腔がんと小胞体ストレスの関係を明らかにした。このような小胞体ストレスによる細胞の生と死に関する研究成果を踏まえ、今後は口腔癌における小胞体ストレスシグナル関与の詳細をさらに明らかにし、これまでにない新規創薬標的の開発を目指す。
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