2010 Fiscal Year Annual Research Report
新しい生体吸収性マグネシウム合金を利用した複合機能性医用材料の開発と応用
Project/Area Number |
20390496
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 良央 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (30302152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 敏司 独立行政法人物質・材料研究機構, 新構造材料センター, グループリーダー (40254429)
山本 玲子 独立行政法人物質・材料研究機構, 生体材料センター, グループリーダー (20343882)
金高 弘恭 東北大学, 大学院・医工学研究科, 准教授 (50292222)
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Keywords | 生体吸収性材料 / 動物実験 / 骨形成 |
Research Abstract |
本年度は、スクリュー状のカルシウム系、アルミニウム系のマグネシウム合金をウサギ脛骨に埋入したものについて、マイクロCTおよび組織標本を作製して検討を行った。実験には直径約2mm、長さ7mmの円柱状合金を用意し、合金と同形のトレフィンバーで穿孔した後、一部皮下に露出するように埋入した。結果は、カルシウム系合金の長期埋入で、合金の分解が進むと同時に脛骨外に半球状に新生骨の形成が確認された。マイクロCT像では、合金の吸収について、アルミニウム系に比べカルシウム系の吸収が早く、さらに部位別では、骨髄腔内露出部、皮下露出部、皮質骨内の順で吸収が進んでいた。骨髄腔内では、アルミニウム系でも吸収が進んでおり、円錐状に残存していた。一方カルシウム系は長期経過では、ほぼ分解され、分解された合金片と思われる不透過像が散見された。ガス発生については、いずれの合金も長期経過においては明らかな貯留はみられず組織学的にも為害作用を示さないと思われた。以上の結果から、最も重要な観点として本材料の骨形成に関連する能力が注目される。特にカルシウム系は、カルシウム、マグネシウムの骨形成への関与がすでに指摘されるように分解過程で骨形成に関与する可能性が今回の実験でも確認された。また分解特性はすでにin vitroの実験系でも明らかにしてきたように合金によって異なり、材料の部位や治癒期間に合わせた調整を行うことができると思われる。また同じ合金でも周囲環境によって分解特性が異なる点は、実際の臨床応用でどのような部位に用いるかという視点を持たなくてはならないことを意味していると考えられた。
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